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読んだ本「ボビーZの気怠く優雅な人生 」

ボビーZの気怠く優雅な人生 (角川文庫)
ドン ウィンズロウ
角川書店
売り上げランキング: 245,757

最近、ドン・ウィンズロウブームが再来していたので、ウィンズロウの本を片端から読んでいた。

その一環としてこちらを読了。

公式紹介では

海兵隊あがりの冴えない泥棒ティム・カーニーは、服役中の刑務所で正当防衛のためにヘルズエンジェルズの男を殺し、塀の中にいながら命を狙われる身となった。

生きのびる道はただひとつ。ティムの容姿が、南カリフォルニアの伝説的サーファーで麻薬組織の帝王、ボビーZにそっくりであることに目をつけた麻薬取締局の要求を飲み、Zの替え玉となることだった―。

愛すべき悪党どもに、ミステリアスな女。波の音と風の匂い。気怠くも心地よいグルーヴ。ウィンズロウが新境地を切り拓いた最高傑作。

という本。こういう紹介で示される内容が好きでなければ、読んでも絶対に面白くないと思います。

私としては、本の内容よりも「ウィンズロウ流し」で読んだので、そういう意味では、相変わらず、紹介文にもあるような「気だるくも心地よいグルーヴ」がある本で、楽しく読みました。

ウィンズロウは、本のストーリーも王道の「悪を倒す」系の楽しいものですが、ところどころに挟まれるファンキーな表現が楽しい作家です。

たとえば今作でいえば、ジョンソンが「標的は27度の方向にいるので、射撃せよ」という伝言を伝えるように命じられた箇所では、

ロハースに二十七度と自分のけつの穴の区別がつくとは思えないが、ジョンソンは命じられたとおりにする

が、刺さりました。

あとは、気の利いた表現も多く、たとえば以下。

「その娘は死んだのか?」
「聞いたでしょ」
「何があったんだい?」
ローブの前をかきあわせてエリザベスが立ち上がる。
「自殺したの」そういって立ち去りかける。
「なんのために」ジョンソンはその背中に問いを投げる。
「もう生きなくてもすむように、でしょ」

また生粋のエンタメ小説でございました。

ゴールデンウィークに読んだ15冊+α

ゴールデンウィークでは、Kindleで未読の本を処理しようと思い、乱読。

以下、せっかくなので引用メインのレビューを。

赤目四十八瀧心中未遂

赤目四十八瀧心中未遂
赤目四十八瀧心中未遂

posted with amazlet at 16.05.07
車谷 長吉
文藝春秋
売り上げランキング: 103,758

★★

なぜ買ったか覚えていない一冊。

多分、誰かに「車谷 長吉」を進められたので、買ったのだと思われる。

前半は「なんだか入り込めないな」と思って読んでいたのだが、知らない間に、下町の雑踏に飲み込まれるように物語に吸い込まれてしまった。

大阪弁と1980年前後の時代の濃さが凝縮されており、この肉々しさやシズル感がすごい。

梁石日や西村賢太などの作品が好きなら合うのではないか。

チンケに負ける豚。

なんというインパクトのある比喩。

「そやかて、この世に生きるいうことは焦るいうことやろが。そやからこそ、お先にどうぞ、思て生きなあかんのやけど、世ン中の人はみな目の色変えて、我れ先に走って行きよるが、阪神電車に乗るん一つが。これを言い直したら、生きることは捨てることや。

お姉さんのタンカ。表現も内容も深い。

けったいなこと言うてはる人。

ぐっとくる表現

一度、冷蔵庫の扉を開くと、中に口を近づけて、「ねえさん、すんまへん。ありがとうございました。」と、声にならない声で言うた。その声を冷蔵庫の中に閉じ込めるように、扉を閉めた。私はアパートを飛び出した。

好きなエピソード

白洲次郎 占領を背負った男

白洲次郎 占領を背負った男 上 (講談社文庫)
北 康利
講談社 (2008-12-12)
売り上げランキング: 44,561

★★★

会社の方に教えてもらって読んだ本。

「面白いに違いない」と思っていたが、案の定、最高に面白い。よく売れた一冊と記憶しているので読んだ人も多いのではなかろうか。

ちなみにこの一冊も、流行っていた数年前に読んで、途中で挫折した一冊。当時はこの白洲次郎の気持ちにはなれなかったのだろう。

戦後の日本でGHQなどと張り合った男の人生。ダンディズムがあり、ジェントルであり、もう魂を揺さぶられる人生。

日常生活の冒険

日常生活の冒険(新潮文庫)
新潮社 (2014-03-14)
売り上げランキング: 75,752

★★

なぜこの本を買ったが記憶にない

ストーリーとしてはファンキーな友人との青春談。

大江健三郎は好きな本(同時代ゲーム)と好きじゃない本(他の短編集いろいろ)に別れるのだが、これはそこそこ好きな本。ストーリーというよりも時代を背景にした質感が素晴らしい。

肛門を鬼に咬まれるみたいに恐い

という表現が好き。

“夢を「10倍速」で実現する方法

夢を「10倍速」で実現する方法
三木 雄信
PHP研究所
売り上げランキング: 107,388

★★

会社の方のおすすめで買った本

孫さん好きには楽しい一冊。

以下、ハイライトした箇所の一部。

「早く決断してスッキリしたい」などというのは、孫社長に言わせれば怠け以外の何物でもないのです

確か孫さんは数分考えて結論でないものは自分で考えないというスタンスでしたが、それと平行して、「とはいえ、すっきりしたいために決断する」というのは戒めるためのポイントなのではないかと理解しました

「自分一人で考えない」  これこそが夢の実現スピードをアップするための必須条件だと、私は孫社長から学んだのです。  その証拠に、孫社長が部屋にこもって一人で何かを考えている時間はめったにありませんでした。

ちなみに私は、日本中の論文を検索できる「CiNii」というサイトをよく使います。政治経済から科学、医療、芸術まで、あらゆるジャンルの論文が探せるのでとても便利です。  

知らなかった。ちょっと使ってみたら結構面白い。「ブランド国家」で調べたら、僕が大学時代に大きな影響を受けたvan Ham Peterのフォーリン・アフェアーズの論文も掲載されていましたん。

思考は現実化する

思考は現実化する〈上〉
ナポレオン・ヒル
きこ書房
売り上げランキング: 4,468

★★

会社の方にリコメンドいただいた本。

著名な本なので、過去にも一度読んだのだが、当時は全然ピンとこなかった(確か高校生か大学生の頃だったように思う)。しかし、今読むとあらためてしっくりくるところが多い。それはきっとこの本に書かれていることのハラオチする経験をしたからだし、あるいは、ここで書かれている課題のいくつかは自分の課題として認識しyているからなのだろう。

本というのは、読むべきタイミング、というものがあるのだ。

人を動かす

人を動かす 文庫版
人を動かす 文庫版

posted with amazlet at 16.05.07
D・カーネギー
創元社
売り上げランキング: 148

★★

こちらも同じくリコメンドいただいた本&過去に挫折した本。

「影響力の武器」を彷彿させましたが、それよりももっと文脈的という印象

道は開ける

道は開ける 文庫版
道は開ける 文庫版

posted with amazlet at 16.05.07
D・カーネギー
創元社
売り上げランキング: 1,518

★★★★

こちらは上記の綱がりで読んだ一冊。一番、刺さった。一番ハイライトした。30箇所前後

私は「友がみな我よりえらく見える日は」というノンフィクションが大好きで。この本では「人がいかに絶望から立ち直るか」といったようなエピソードが描かれている。それをもっと世界版に、そして著名人版にしたのがこの本だという印象を受けた(実際はもっと異なるが、印象論として)

ゆえに、僕は「人が苦労や失敗、絶望からどう立ち直るか」がとても興味があり、少し前からライフワークにしてその話をよく聞いているほどだ。

そういう背景もあり、とても刺さった一冊でした。非常におすすめ。

好きなエピソードいくつか

かつてバイオリニストとして世界に名を馳せたオーレ・ブルがパリで演奏をしていた時、バイオリンのA弦がぷつりと切れたことがあった。けれども、ブルは三本の弦でその曲を終わりまで弾き続けた。「それが人生なのだ。A弦が切れることも、三本の弦で弾き終えることも」とハリー・エマーソン・フォスディックは言っている

私は多くのアメリカ実業界の指導者にインタビューした。強く印象に残ったのは、彼らが避けようのないものは受け入れ、意外にも悩みとは無縁の人生を歩んでいることだった。

偉大な哲学者で『厭世主義の研究』の著者ショーペンハウエルの意見に耳を傾けよう。彼は人生を無益で苦しい冒険とみなしていた。彼が歩を運ぶたびに、彼の体からは憂うつがしたたり落ちた。それでも絶望の深淵からショーペンハウエルは叫んでいる。「できるなら、何びとに対しても憎悪を抱くべきではない」と。

成功者の経歴を研究すればするほど、私は一つの確信を深めるようになった。つまり、努力と成功の刺激剤とも言うべき悪条件を背負っていたからこそ成功したという人は驚くほど多いのである。

これが第一の法則である。次には、より直接的に彼らの生活方式に攻撃を加えるのである。こう言うのだ──「この処方どおりにしたら、二週間できっと全快しますよ。それは、どうしたら他人を喜ばすことができるか、毎日考えてみることです」。

上記の考えはかなり刺さった。実は「自分が幸せになりたければ人の幸せを願うことが重要」という、人生の叙述トリックのようなギミックが仕掛けられている。が、この命題は、非常にハラオチすることも多く、多くの他の人の発言や自分の経験を鑑みても納得できる点は多い。このテーマはしばらくじっくり考えたい。

とりあえず朝マンションで合う人に普段よりも大きな声で笑顔で挨拶をするということから始めている。

近代心理学における最も重要な発見は、自己実現と幸福のためには、自己犠牲や訓練が必要である点を科学的に実証したことであろう」

教室で判明したことといえば、多くの人々は、自分たちが手抜きのできない仕事に絶えず追いかけられ、苦しんでいると思い込んでいることだった。

思い当たることがあり、痛い。

つまり、祈りは神を信じる信じないは別として、あらゆる人々が共有する非常に根源的な三つの心理的欲求を満たしてくれるのである。

祈りの科学的根拠。非常に興味深すぎて、「祈る」という行為にも関心を持ちはじめました

ツナグ

ツナグ (新潮文庫)
ツナグ (新潮文庫)

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辻村 深月
新潮社 (2012-08-27)
売り上げランキング: 3,054

★★★

死んだ人と話ができる場を設定できる人が主人公の話。どのエピソードも、綿密に設計されていて素晴らしい。辻村 深月さんらしい、というか。単なる短編集で終わらせない。

ただ、そういう大味の設定にも関わらず、個々のエピソードが読ませる。特に好きなのは、
・恋人が急に消えた
というストーリー。結婚を考えていた恋人が消えるって、相当なあれですよ。この短編だけでも、色々考えることはありました。

目からウロコのコーチング

★★

コーチングに興味があり手に取った。会社でファシリテーションやコーチングが非常に上手な方がいらっしゃって(以下のURLなど参考)、実際に「そのマジックのような場を整理する力」などを見ていると、「コーチングの本領」を垣間見ることができ興味を持ったのだ。それまでは、その力をどれほどのものかわからず興味が持てなかった

»起業家が知っておくべきコーチングのやり方 — The First Penguin

コーチングの考え方やテクニックなどが多く、非常に参考になった。これは会社の上司・部下だけではなく、友達や恋人との関係でも使えるところは多いだろう。

以下、ポイント抜粋

コーチングにならない原因の一つとして、「問題解決に自分ものめり込んでしまう」という傾向があげられます。

マネージャーあるあるですね(自戒)

「日常的な上司からの情報(アドバイス・意見)がとても役に立っている」という問いに「イエス」と答えたひとは、二〇%でした。

いかに上司として「部下を思っているアドバイス」が、相手にとって役立っていないかという事実を突きつけられるデータ。

つまりコーチングにおける「聴くこと」は、「相手の中に答があると信じていること」が前提条件でできるのです。

これが一番刺さったポイントかも。つまり「信じきれるか」というのがコーチングをする人の力量として問われるのだ。コーチングは単に「聴く」というものでは全くない(当たり前ですが)。

「すぐに出てくる答は答ではない」というくらいの心がまえでいてください。すぐに出てくる答は、普段から考えていることで「常識的で平凡」です

聴くという思いも、上記のような前提で聴くと、また姿勢は変わりそう。

あなたが部下の話を聴くときに、身体はどんな向きをしていますか? 椅子の背もたれに身体をあずけてふんぞりかえっていないでしょうか。

意識だけ「聞いているふり」しても、あかんようになる例。

あなたにみえている部下の「エネルギーロス」を指摘するのではなく、「得られているものの代償として失っているものは何か」をテーマとしてとりあげることが効果的です。

テクニックとして上記の質問は参考になります。

珠玉

珠玉 (文春文庫)
珠玉 (文春文庫)

posted with amazlet at 16.05.07
文藝春秋 (2012-09-20)
売り上げランキング: 21,695

Kindleが出た当初になんとなく買った一冊。開高健さんは名前は聴くけど読んだことがなかったので読まなきゃと。しかしながら、少し読むもピンとこなくて積読(Kindle放置読)していたのですが、ついに読了。

3部作だが3部目の「一滴の精液」が素晴らしい(Amazonのレビューを読むと他をほめている人も多いので、趣味の問題なんだろうと思う)。「小説とは観察だ」とは大江健三郎の短編の中にある一説だが、まさにその本領を体験できる観察眼。

アルケミスト

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
パウロ コエーリョ
角川書店
売り上げランキング: 156

★★★

大学時代に一度挫折して、やっと読了した一冊。

大学時代の尊敬する友人の愛読書で、とても興味があったのですが、当時の僕には読み切る力はありませんでした。とはいえ、者h語り自体は絵本レベルとまではいかなくても、非常にシンプルでわかりやすい物語です

では、なぜ読みきれなかったかというと、このストーリーが持つ箴言や意味を汲み取りができなかった(あるいはそれを必要としなかった)のだろうと思います。別でも「本によって、読むべきタイミングがある」というのは書きましたが、その代表的な本がこちらかと。もちろん、これは青春時代に読むべき本の一冊としyて考えるのが正しいのでしょうけれど、何歳になってもこの本の持つ意味の価値は変わりません。折に付け読み返したい本です。

素晴らしい一冊とは分かっていたのに体が受け付けなかった。いまはとてもしっくりくる。そのような自分の年の重ね方さえも感じられる素晴らしい一冊です

その日のまえに

その日のまえに (文春文庫)
重松 清
文藝春秋
売り上げランキング: 1,139

途中まで読んでいて、やっと読了。最後あたりはぐっとくるシーンが多い。ただ、重松さんの本は、家族系が多いからか、あまり感情移入できず得意ではないかも。

疲れない脳をつくる生活習慣

疲れない脳をつくる生活習慣
プレジデント社 (2016-01-28)
売り上げランキング: 118

★★

以下の記事を見て石川 善樹さんに興味がでて拝読。しばらく前から重視されている「マインドフルネス」に関する一冊。

»強いメンタルを持つ人間の行動は何が違うのか?(前編) – Industry Co-Creation(ICC)

瞑想(禅)への関心がますます高まっています。

最貧困女子

最貧困女子 (幻冬舎新書)
鈴木 大介
幻冬舎
売り上げランキング: 2,686

★★★

お金がなく風俗をする女性たち、それでも十分に稼げず活きるのに精一杯な人たちの実態のルポ。

この状態が日本のどこまでの母数を表しているかの量の問題は別として、実際にある問題なのだろうと思う。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない  A Lollypop or A Bullet (角川文庫)
桜庭 一樹
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 35,357

★★

ラノベでは有名な本。角川の本がキャンペーンをしている時に購入。

ストーリーとしては読みやすく面白い。中高生受けするでしょう。

逃げるは恥だが役に立つ

逃げるは恥だが役に立つ(1) (Kissコミックス)
講談社 (2013-12-06)
売り上げランキング: 16,116

★★

なぜ買ったのか不明(購入日は2年以上前)。婚活系の漫画なので、婚活に興味があった頃だったのかな。

「ハウスキーパーを雇う男性とそのハウスキーパーさんと建前上、結婚するという話」であり、設定としては面白かった。

僕だけがいない街

僕だけがいない街(1)<僕だけがいない街> (角川コミックス・エース)” style=”border: none;” /></a></div>
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KADOKAWA / 角川書店 (2013-05-18)
売り上げランキング: 59

★★

これも2年以上前に購入。角川の本が安い時に買ったのかも。あと友人のおすすめと。

近未来の悲劇を予知できる主人公の話。こういう時間操作系は面白い。

読んだ本「横道世之介」

横道世之介 (文春文庫)
横道世之介 (文春文庫)

posted with amazlet at 16.04.29
吉田 修一
文藝春秋 (2012-11-09)
売り上げランキング: 16,632

★★★★★

「いい本読んだ!」と思えた小説でした。吉田修一さんの本は、どれもはずれがない。

青春ものの物語で、大学のために上京してきた主人公の学生時代の物語。友情あり、恋愛あり。

ただ、通常の物語と違うのは、構成。この出来事はバブル期あたりの物語なのだが、そこの登場人物たちの「今」が、物語の合間に差し込まれる。つまり、大学生だった彼らの「数十年後」が垣間見れる仕組みになっている。

そこで「ん?」という出来事が起こり、時間を移動しながら、ぐいぐい物語に引きこまれていく。人物像も上手ければ構成もうまい。きっとあなたもこの登場人物の誰かに感情移入をし、あるいは、誰かに恋をすることでしょう。

最初は新聞か何かで連載されていたのかな。最後はその時と少し話が変わっているそうで。映画化もされたので、それがどのような最後になっているのかも気になるところ。

おすすめです。

読んだ本:失敗の本質

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
戸部 良一 寺本 義也 鎌田 伸一 杉之尾 孝生 村井 友秀 野中 郁次郎
中央公論社
売り上げランキング: 114

★★★

第二次世界大戦における6つの戦線を元に、タイトルの通り「失敗」の原因を探っていくという本、に限らない。それを元に、日本の組織とはどうあるべきか、という点も合わせて考えることができる書籍となっている。そういう点では、戦争の本にとどまらず、組織論に近い本となっている。

いくつかポイントはあるものの、もっとも大きな問いの1つに「日本的意思決定」が挙げられる。いわば、合議的ゆえに誰が意思決定がしたか不明瞭であり、責任範囲もうやむやなままに物事が決まっていくというものである。今回の戦争でも、そのような重要な意思決定がふわっとした形で決まり、ないし、決定しないゆえに、統一が取れない形で戦争が進んでいくという課題があった。

また、印象深いエピソードとしては、ある戦争において負けた者がいた。上司は、その者のリベンジとして別の戦争で、彼が戦える場を用意した。いわば、感情論の意思決定である。もちろん、これで勝てば良いエピソードとして残るのかもしれないが、それで数百、数千の命が関わることになる。本来的には、そのような1人の感情のために、意思決定は行なれるというようなことはあってはいけない。

このような今の日本の組織に照らし合わせて思い当たるところが少なからずあり、考える一助となる良書でした。

書評:リーダーシップからフォロワーシップへ

リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは
中竹竜二
CCCメディアハウス
売り上げランキング: 72,522

★★★

会社の研修でこの中竹さんの話を聞いた。フォローワーシップというマネージメントに関する概念だ。

マネージメントとはマネージする人とされる人によって成り立つものであり、そのマネージされる人をフォロワーという。そのフォロワーが自発的にいかにパフォーマンスをあげれるようにするかといった考え方である(※ ただし、このあたりは私自身、理解が曖昧なので、本当に正しいかどうかはわからない)。ポイントは「自発的」という点であり、その点は、いわゆる「人を率いるリーダーシップ」とは対局に位置する考え方である。このフォロワーシップのマネージメントの最たるところは「リーダーがいなくても回る」というものといえば、まだイメージは付きやすいかもしれない。もっとシンプル化してしまえば、トップダウンかボトムアップか、のボトムアップのイメージが近い。

この考え方は初めて聞いたのだが、自分自身マネージメントに悩むことも多かったので、この概念から考えさせられることが多かった。この考えでは、マネージする人は必ずしも下の者よりも能力が秀でている必要がない。もちろん、従来のリーダーシップの考え方でもその考え方はあるのだが(たとえば、リーダーはビジョンを指し示すのが仕事、と定義した場合はスキルは別の話になる)、ただ、これはそのようなふわっとした話よりも、もう少しスキルや能力とは別の汎用的な「フォロワーシップを育成するスキル」を求める。たとえば、この本ではその最たるものとして「メンバーのスタイルを確立させること」というものがある。それによって、全体最適かつ、個々がもっともパフォーマンスを上げることができる組織が出来上がる。一種のコーチングにも近いという印象を受けた。

このフォロワーシップの利点としては以下などがあるような気がした
・個々人の自立性が高まるので組織力がつく(組織の力がリーダ1人などに依存しない)
・適正に合わせた成長を重視するので、個人としてもパフォーマンスが発揮しやすい
・スキルによるマネージメントは、常にその組織がリーダーを超えないというジレンマがあるが、それを超える組織を生み出す

もちろん課題も多くあり
・そもそも、このフォロワーシップを作り出すスキルの難易度が高そう(口を出したりしすぎてはいけないし、個々人のことをかなりしっかり理解しないといけない)
・フォロワーとの関係性を気づいたり、フォロワー自身が失敗して学ぶなどを経る必要があるので時間がかかる(ベンチャーには向かない?)

印象としては、
・市場が流動的な業界(ITとか)
・それなりに離職率が低い
・それなりに時間をかけて人を育てる体力がある
といった会社で向いているのではないかな、という印象でした

読書レビュー:稲盛和夫 最後の闘い

久しぶりに読書レビューを。

稲盛和夫 最後の闘い―JAL再生にかけた経営者人生
大西 康之
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 36,199

評価:★★★★

会社の尊敬する方に進められて読んだ一冊。稲盛さんの本は自伝的なものは読んでいたが、こちらは未読なので拝読。

JALの再建を託され、いかに彼がそれを受け、戦い、そして勝ち抜いたかが記載されている。2010年にJALの会長に就任し、2013年3月31日までの1155日の戦いだ。会社更生法の適用を申請した時の負債総額は2.3兆。会社更生法の適応会社が再上場した割合は7%のみ。そこから2012年には2049億円の営業利益を産み、再上場をさせた。結果として、彼はJALを再建させた。ある種の奇跡とも言える事をなぜ成し遂げられたのか?

いくつかのポイントがあるにせよ、マクロな観点でいえば「社員の考え方を変えさせた」ということなのだろう。3万人もいる会社ゆえに、何人かが考え方が変わっても、物事は変わらない。そうでなく、3万人全員が考え方を変えるということを行い、物事は大きく動く。しかしながら、当然、考え方を変えさせるというような容易ではない。人は今までのやり方を踏襲するし、何よりパラシュートで上から降りてきた人の言うことは人間心理として聞きにくい。しかし、フィロソフィーや彼自身の働き方、個々の仕組みを変えることによる考え方へのインパクトなどあらゆる手段を通じて、彼はそれを実現した。それが、この改革の真骨頂だろう。

その考え方を変えさせた仕組みの1つがアメーバ経営という仕組みである。組織を1リーダーが見れる範囲(アメーバ)まで分類し、リーダやメンバーはその単位の数字を徹底的に把握する。そして、メンバー全員が「今日はもうかったかどうか」を把握する。それによって、メンバーは自分の考えで試行錯誤をすることができる。また、事業自体も自分ごと化できる。なお、この「数字の管理システム」の構築は、非常に難易度の高い仕組みであり、京セラでその仕組を立ち上げた担当者がJALにも参画した。

そしてアメーバ経営に欠かせないもう1つの仕組みが「ミッションや戦略、行動計画の明確化」である。そのような指針がなければ、メンバーも「どういうステップでどうすれば数字を達成できるか」が全社観点で最適なものとならない。個々の単位にミッションが明確にあるからこそ、あとはトップダウンではなく個々で動いても全体での齟齬がでない。ゆえに、個々の単位で機動的に動くための指針がミッションである。アメーバ経営は、この小規模な組織とミッション単位の明確な戦略、そして、正確な予実管理システムによって成り立っている。それによって、メンバー全員が「どうすれば目標を達成できるか」ということを考えられる自律的な組織が実現する。

この仕組は聞いただけだと「ふーむ」という印象だが、実際にそれが稼働している世界を見ると「なるほど」と腹に落ちることが多い。KDDIの強さの一端をそこに見ることができ、アメーバ経営の凄みを実感する日々。

最後に彼のエピソードをいくつか
・予算として承認されている10億円の予算執行を拒否。たとえ、それが予算として通っていても、担当者が「なぜ必要か」という点をしっかり説明できなければ、通さなかった
・1日3時間のリーダー研修を月17回も行った。カリキュラムは自前で
・国際路線の担当者は「サンフランシスコ空港のラウンジの水道代から、オーストラリアでカンタス航空に借りているラウンジの人件費まで、頭に入っている」とという。細かいデータの把握によって、常に必要な対処法を考えることができる

他にもエキサイティングなエピソードは多々掲載されているので、ご興味ある方は是非、ご一読ください。

「市議会議員に転職しました」が多くの人に読まれることが大切だと感じましたー

大学時代からお世話になってる遠藤さん(遠藤先生が書籍を上梓されましたん。おめでとうございます!

市議会議員に転職しました。: ビジネスマンが地方政治を変える
伊藤 大貴 遠藤 ちひろ
小学館
売り上げランキング: 14,639

冒頭で以下のように書かれています。

l地方議会にもっと若手議員が増えれば、自治体に持続可能な経営感覚を持ち込むことができるはずです。市議会議員の8割が50歳以上というニッポンの現実。市民の代表者たる議員たちの年齢が、実社会の年齢バランスと著しくかけ離れていることは健全とはいえません。生活にいちばん近い地方自治体の議会にこそ、もっと若者世代が必要なんだというのが一つめに届けたいメッセージです。

つまりこの本は自伝といったニュアンスよりも「もっと若い人に市議会議員になってほしい」という目的のために書かれているものです。

そのため
・実務内容
に限らず
・どれくらいの給料か
・どういう流れで当選するのか
・どうしたら慣れるのか
といったことが率直に書かれています。

おそらくその意図を反映して、本のタイトルも「市議会議員に転職しました」というものになっているのだと思われます(転職という概念でパッケージング)。

文章も、論理的に分析されており読みやすく、同時に生々しいです。たとえば、「会議で使われる業界用語」などは笑いながらも、その生々しさに笑いも収まってしまいます。

内容は、特に「ビジネス経験が活きる」という点が強調されており、この本を読んで「市議会議員を目指そうかな」と思う人は少なくないのではないかしら、という印象を受けました。

言うまでもなく、今の「選挙者」が若い世代が少ないのも問題だとは思っていますが、同時に「被選挙者」も若い世代がいないことは大きな問題です。同時に、ビジネスセンスを入れて行政を行っていくということも非常に重要だと思われます。そのため、この本が売れて、若い世代&ビジネス感覚をもった人がもっと市議会議員になるということは、非常に健全なことであるかな、と感じた一冊でした。

心理戦の応酬小説「スリーピングドール」を読んだ

最近、洋物を読むことがブームなので、スリーピングドールを読んだ。

概要はとしては

他人をコントロールする天才、ダニエル・ペル。カルト集団を率いて一家を惨殺、終身刑を宣告されたその男が、大胆かつ緻密な計画で脱獄に成功した。彼を追うのは、いかなる嘘も見抜く尋問の名手、キャサリン・ダンス

である。ダンスさんは「人間の所作や表情を読み解く「キネシクス」分析の天才」という位置づけ。

ゆえに、内容は心理戦の応酬。くわえてドンデン返し。

スリーピング・ドール〈上〉 (文春文庫)
ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋 (2011-11-10)
売り上げランキング: 61,267

いくつか引用箇所をピックアップ

「オルガンの音栓をいっぱいに弾いてね(全力を尽くせ、という意味)」

「思います」という言葉は尋問官にとっては重要な意味を持つ。それは、たとえば「記憶にない」とか「たぶん違う」といった表現と同じように、否定の段階にあることを示すフラグだからだ。言い換えればこういうことになる。「曖昧な言い方はしていますがはっきりノーと断っているわけではありません」。

「帰ったら電話する」キネシクス分析のスペシャリストであり経験豊かな尋問官であるキャサリンダンスは、人は見破られることがわかっていて、時には見破られることを期待して、嘘をつくことがあるという現実を知っている。その代表例がこれだ。

ミレニアムを読んだ

先日、ミレニアムを読んだ。

久しぶりに、いわゆる「寝食忘れて」没頭して読んだ本だった

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
スティーグ・ラーソン
早川書房
売り上げランキング: 10,792

全3シリーズの6冊(文庫本)。スウェーデンの本で、第一部は映画化もされたので耳にされたことのある人は多いのではないか。

残念ながら、作者は出版の日を待たずに他界をしてしまった。そのため、当初に想定されていた第四部と第五部はもう読むことはできない(メモは残っているらしいのでそこから作成されるかもですが)。しかしながら第三部まででも十分に話は完結しているので楽しめる。

ただスウェーデンの名前がわかりにくく(覚えにくく)、その点は苦労した。

いくつか引用をしようと思ったが、線を引いたところがほとんどNSFWだったので、当たり障りのない以下を引用

「あなたはおいくつ?」
「40過ぎです」ミカエルは笑って答えた
「ということは、ついこの前まで20歳だったわけね。まったくなんて早く過ぎるんでしょうね。人生って」

風立ちぬ

機会があり、ジブリの新作、風立ちぬを見た。

この映画は、なんとも感想を言いたくなる、ないし、かきたくなる映画だ、と思った

良い映画はそれだけで独立して存在するが、ただ、同時に人とのコミュニケーションを促進する映画も、また良い映画である

前者は、たとえば、ショーシャンクやエターナルサンシャインであろうし、後者はたとえばユージュアルサスペクツやパルプフィクションであろう。

往々にして、後者の映画は、人の想像によって完成される作品である。そこには謎があったり、あるいは解釈が求められる

人はそこに意味を持たせたがる。それゆえに、その映画はまさにメディアの文字通り、媒体となって人の口を渡り歩く

この映画も、他のジブリ作品と同じく多くの隠喩や伏線がはぐらされていたという点では同じだけれども、それ以上に「どこに着眼するか」という点が、多く用意されている映画であったように思う

それは恋かもしれないし、飛行機かもしれない。あるいは、そもそもこの映画の試みかもしれないし、ないしは、サブキャラの存在感かもしれない。あるいは重ねられた歴史かもしれないし、ないしは声優かもしれない。それゆえに、ネット上でも数々の侃々諤々の議論が見受けられるのであろう、と思う

いろいろなとっかかりがあり、見ているうちは、それがなんとなく喉に引っかかったサバの骨のごとく違和感として残るのだけれど、それゆえに、映画の後では、これに関して誰かと話をしたくなる、というような

僕の場合は言葉だった。この映画に使われているいくつかの言葉の意味がとても引っかかり、それが後にも残った。

なぜ、そこでその言葉を使ったのか、ないし、「風立ちぬ、いざ生きめやも」という堀辰雄によって素晴らしい日本語に訳された「Le vent se lève, il faut tenter de vivr」の意味合いであったり(蛇足ながら、ヴァレリー自身(テスト氏)に私が学生時代になじめなかった作家なので、そういう意味では、ヴァレリー自体が、喉に刺さった骨である)

そういう点でこの映画は、良い映画だな、と思った