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世に棲む日日を読んだ

世に棲む日日(一) (文春文庫) 電子書籍: 司馬遼太郎

昔、一度挫折したのだけど、最近、ふと思い立って読み直した。めちゃめちゃ面白かった。
高杉晋作と吉田松陰の物語

特に記憶に残ったこと
– 当時の日本は班に分かれていたので、いまの日本と違う国の概念だったわけで、その中で、国を統一するという概念・推進するという考えを持つというのはなかなかすごい。キングダムの中華統一にも似た想像力。ただ、これを今に当てはまるとやはり今の国の概念も永遠ではないわけで、別の国があり得るわけで、それは想像力の問題だなと思った
– 吉田松陰は滅私奉公的な、個人よりも公のために死ねる人だったわけだが、それは個人の特性というよりも、教育によるものだと理解。宗教ではなく教育でそこまで人は価値観を変えれるものだという驚き

 良いなと思った箇所抜粋

(どうせ人間、死ぬのだ)  と、伊藤はおもった。〜(おれはもう死んでいるのだ。死霊が駈けているのだ)  そう思え、と自分に言いきかせた。

死を覚悟して戦うシーン。現代ではこんな考え方はなかなかできない。

かれはこの時期、その後ながく長州人のあいだに伝えられた名言を吐いている。 「人間というのは、 艱難 は共にできる。しかし富貴は共にできない」

辛いことは共有できるけど、成功を共有できないという深い含蓄。

晋作は、その手の甲を、また叩いた。晋作のいう浮世の値段というのは、 おうのが受けとった意味とちがっている。美人であれ不美人であれ、英雄であれ凡骨であれ、ひとしなみに人生とはいったいどれほどの値段かということであった。生きていることの楽しみはたしかに多い。しかしその裏側の苦しみもそれとほぼ同量多いであろう。その 楽 を差引き勘定すればいくら残るか、というのが、晋作のいう浮世の値段なのである。 (まあ、三銭か)  と、晋作はおもった。それ以上ではあるまいと、この若者は思うのである。

高杉晋作によると人生の価値は三銭。

「急速」  ということばがすきであった。よく手紙にもこのことばをつかったが、おそらく一生のうち、かれがもっとも多くつかった言葉の一つにちがいない。

高杉晋作は「急速」という言葉が好きだったらしい

英雄とはその個人的資質よりも、劇的状況下で劇的役割を演ずる者をいうのである。

司馬遼太郎の歴史観。

かれの生涯の事業は、かれ一個の心情のなかでは死というものを遂げること、それそのものが事業であったらしい。

吉田松陰の人生観。いかに死ぬか。気合い入っています

蜀漢 の 諸葛孔明 は「 出師 ノ表」によって後世を 哭かせ、 南宋 の 文天祥 は「正気ノ歌」によってひとびとの心を震わせつづけている。詩文というのはそれだけの役割があるのだ、

詩の価値。いまでいえば、ジョブズのスピーチ的なプレゼンの価値?

Quick Styleの結婚式のダンス動画はyoutubeの最高の動画の一つ説

Tiktokでよく見かけていた以下の動画。

結婚式で、欧米アジアの混合のダンスチームが、エネルギッシュに踊る動画。グローバルでは1億以上の再生。



特に9分あたりからのSadi galiの曲が始まってからの爆発的なダンスは感動的でさえある

このQuick Styleはノルウェーのダンスチームで、ノルウェー人とパキスタン人の双子、スレマン・マリク(Suleman Malik)とビラル・マリク(Bilal Malik)が立ち上げた。長髪のアジア人のナシール・シリハン(Nasir Sirikhan)は、タイ人とアジア人のハーフで双子の幼なじみ。この3人がファウンダー。

この結婚式は、そのファウンダーの1人スレマンさんの結婚式。だからこその喜びにあふれた結婚式でもある。

Youtubeのコメントで「現在までのところ、YouTube 史上最高のビデオの 1 つです。」とあるように、個人的にも、大好きな動画の一つ(他にも、Where the Hell is Matt?も捨てがたい一作だが)。

街とその不確かな壁」を読んだ

去年、発売された村上春樹御大の新作

Amazon.co.jp: 街とその不確かな壁 電子書籍: 村上春樹: Kindleストア

いざという時の清涼剤として寝かせておこうと思ったのだけど、友人に「村上さんの新作は、発売日に読んでそれをネタにしゃべるのが、一番正しい楽しみ方」的なアドバイスをもらって、確かにそういうものかもな、と思い、発売日から読み始めた。

面白かったー。ハードボイルドワンダーランドの続編に近い位置づけなのかな(実際は続いてないけど)。

>ホルヘ・ルイス・ボルヘスが言ったように、一人の作家が一生のうちに真摯に語ることができる物語は、基本的に数が限られている。我々はその限られた数のモチーフを、手を変え品を変え、様々な形に書き換えていくだけなのだ──と言ってしまっていいかもしれない

村上さんがずっと伝え続けたいモチーフは、この井戸なんだろうな(ねじまき鳥、今回、騎士団長などでも繰り返しでてくる)。この自分に深く向き合うことで見れる何か。村上さん自身がなんかそういう原体験あるのかな。

>「どうだろう? 恋愛というのは医療保険のきかない精神の病のことだ、と言ったのは誰だっけ?

今回も上記みたいな気の利いたセリフがたくさんあった気がする

>二十歳前後に巡ってきた出鱈目な時期を、ぼくはなんとか乗り越える。今思い返しても、そんな日々をよく無事に──まったく無傷とは言えないにせよ──通り抜けられたものだと自分でも感心してしまう。

20歳の青春の描写をよくまぁこんな上手にできるわね、と思いました。思い返したくない恥ばかりの時代で、でも、あのまばゆさに少し甘い望郷を感じる時代。

騎士団長殺しを読んだ

村上さんの騎士団長を最近、読んだ(ここ数年以内)。なぜなら、村上春樹は最大の現実逃避の小説なので、現実逃避したい時に読みたいから。

Amazon.co.jp: 騎士団長殺し(第1部~第2部)合本版(新潮文庫) 電子書籍: 村上春樹: Kindleストア

>「試練はいつか必ず訪れます」と免色は言った。「試練は人生の仕切り直しの好機なんです。きつければきついほど、それはあとになって役に立ちます」

免色さんかっこいい。ノルウェイの長沢さんを思い出します。

「明け方の若者たち」「ボクたちはみんな大人になれなかった」を読んだ。

カツセマサヒコさんの名前は知っていたけど本を読んだことがなかったので、読んだ。

明け方の若者たち (幻冬舎文庫) eBook : カツセマサヒコ

青春小説だった。青春小説としてはとても楽しく読んだ。
サブカルもたくさん。

昔読んだ燃えがらさんの「ボクたちはみんな大人になれなかった」に通ずるところがあった

>「人間の体は、あっためて甘いもん入れたら、少しは落ち着くようにできてんだよ」

いざという時にストックしておきたいセリフ。甘い珈琲だしながら。

>「花火を見てるとき、大人が子供ほどはしゃがないのは、なぜか知ってる?」 「わからん。なんで?」 「いつか誰かと見た花火を、静かに思い出してるからなんだとさ」

花火みた時用にストックしておきたいセリフ

なお、「ボクたちはみんな大人になれなかった」からの抜粋としては以下

>「もしかしてなんてないのよ人生」

>不安のためにボクはこれからも時間を売る。関口は不安を買って旅に出ることにしたんだ。

断食道場にいってきた@やすらぎの里

断食道場に行ってきました

やすらぎの里。養生館の一週間コース

きっかけは、知り合いが、「めちゃ良かった。頭もさえるし、身体も軽い」とツイートされていて、仕事や日常のパフォーマンスあがるならいいな、と思い申し込み。
なお結構うまってるので、3ヶ月くらい前に申し込み(予定変更は一週間前とかだったかな?なら無料で可能。実際、出社する予定が入って当初のスケジュールからは一度変更)

1日目:

朝から何も食べてはいけない。朝、ご飯を食べないと目が覚めない人間としてはそれがつらい。
秋の花粉症とダブルで死にそうになりながら、友人と合流し品川駅へ。品川からは踊り子で一本でいけるので、おすすめ。

到着して部屋に入る。二階の個室ですが、十分に広く快適。太陽の日差しが好きだったので、それが入る部屋にしたのですが、明るすぎるかも。206が良さそうな印象

簡単な面談後は自由時間で、仕事。ネットワークが気がかりだったのですが、部屋専用のIDも用意してくれて快適。40Mbpsくらいでてたので、zoomだとほぼ支障なし。

この時点で朝も昼も食べてないので、空腹。

待望の夜ご飯だが、具のない味噌汁。具のなさに衝撃ですが、具がない具を食べているという抽象化して乗り切る。
お腹すいた感が強い

なお、同じく断食コースに参加されているのは10人数人。男性は我々2人ともう1人の方の3人。他はほぼ女性でした。平均年齢は50〜60歳くらいでしょうか。一番若い方で40歳くらい?

ただ、こういうところに参加されるくらいなので、皆さん、元気な方の印象でした。

なお就寝は22時。早いですが、慣れると寝れます。ただ、みなさんは早起きしてましたが、私は身体が壊れているのか、ひたすら眠く最終日まで8時間か9時間くらいは寝ていた気がします。

2日目

朝がつらい。毎朝、食べ物を入れて目ざめていたので、それができないので、朝が起きれない。

起きた後は、ひたすら仕事。
お腹すく。日替わりのお茶をだしてくれている。小豆茶が美味しかった記憶。あと部屋には、無限に飲めるハブ茶があって、これも美味しい。

糖分が足りなくて頭痛になることがあるらしく、その対策で、生姜湯を1日3杯飲める。これは、空腹で死にそうな時の味方でした。朝は、これでなんとか乗り切ったし、逆に言うならば、これを飲まないと動けなかった。

あと、梅干しも1日1個OK。塩分補給かな。これも美味しかった。梅干しがこんなに人の命を救うなんて思ってなかった。なお、梅干しをつけた水の梅酢というものもあります。これも酸っぱくて美味しい。

昼はニンジンジュース。

夜は、豆乳味噌汁。これは、美味しかった記憶がある
しかし、人がスプーンでゆっくり食べているところ、私は一気の飲み干してしまう。性格でちゃうな〜。

なお食事は2回。10時と18時かな。そういうサイクルも斬新でした。

このあたりで、食べる瞑想というレッスンに参加。
いちじく、レーズンなどをゆっくり食べるというレッスン。見て、匂いを書いて、そして、咀嚼して音を聞く。ひとつぶ5分くらいかけて食べます。

普段レーズンなんて一口でしかも複数一気に食べることを考えると、それとは真逆の食べ方です。ただ、新しい発見がいろいろあって楽しかったです。いちじくの歯ごたえってよく考えたら最高やん、とか。噛むと唾液ってこんなに出るのね、とか。レッスンは2個くらいしか参加しませんでしたが、これが一番価値があったかも。

あと好転反応といわれる反作用がでてきます。だるけ、頭痛、吐き気など。私は、頭痛とだるさでした。頭痛はバファリンで回復しましたが、だるけはなかなか回復せず。

3日目

昼はグリーンスムージー
この日は、朝の散歩にも同行。

散歩やヨガなど、いろいろなアクティビティが用意されているが、参加は自由。私は仕事優先で、ほぼ参加せず。

夜は何だったか覚えてませんが、液体。
3日間、固形物0という体験は人生初めてでしたが、いがいといきていけるなという印象。
2日目くらいからは、空腹がありましたが、3日目からはあまり感じず。身体のエンジンが切り替わったのだと思われる。

3日目くらいからは、「ああ、いけるやん」という感じになり、空腹は対処できるのですが、身体のだるけはピークで階段を歩くのにも苦労してました。筋肉が落ちてないか心配ですが、それだけが懸念。

あと空腹はないのですが「食べる快楽」自体は覚えているので、それは懐かしくなりました。こないだBBQで食べた肉のうまさを思い出し「なんでもっとあの肉を味わっておかなかったんだ」と思ったり「よく考えたらあの肉はまじ美味しかったなぁ」と思い返したり。

翌週の食事の予定があったので、食べログを調べていたのですが、お腹が空いてくるんので、閉じたりはしていました。
友人はコンビニにいって何も買わない修行というのをやってました笑

 安眠ヨガというヨガに参加。「あ、ストレッチって気持ち良いな」という印象。昔はストレッチは好きじゃなかったのですが、この年になると身体が硬くなるゆえか、こういうストレッチ系って気持ちよさを感じますね。身体が固まっているこりをほぐす的な。村上春樹の好きなセリフでそんなのあったな。違う?

4日目

今日から回復食で固形物が食べれます。最高

昼は大根が入った汁物がでました。大根は柔らかいものの、固形物が出ただけで感激です。いままでの私だと一口で食べていましたが、じっくり味わって噛んで食べます。具の入った味噌汁一杯で満足するとは、今までの食事量を考えると不思議な体験です。

夜は、予定があったので、東京に戻る。ちょうどサフィールというのがあったので、のったのですが全席グリーンらしく9000円。高!ただ、あっというまにつきました。

夜は自分で用意しないといけないのですが、宿の人にきいたら「野菜ジュースかバナナ、おかゆ」とのことだったのでコンビニでおかゆをかってかえります
ただ「あ、タンパク質とろう」と思いつき、プロテインを摂取。それだけで満足してその夜は眠りました。

5日目

昼から、会社の歓迎会ランチがあり、焼き肉屋へ。みなが焼き肉を食べている中、私はナムルだけという修行をしてきました。
ただこの頃にもなるとエンジンが切り替わっているので、さほど気になりませんでした。ただ水はがぶがぶ飲む
焼き肉なので、断食しているのばれないかなと思いましたが、ひとりひとさらなので余裕でばれてしまいました

その後、踊り子に乗る予定が品川で窓口が混んでいて逃しちゃいました。ICカードがあれば、券売機でかえるのですが、携帯スイカなので、券売機でかえる。アプリでかおうとするんのですが、えきねっとアプリがワークせず。
しょうがないので、えきねっとwebにして購入したものの、受け取りのQRコードが券売機でワークせず。正解は、「予約EXと書いている受け取り券売機でQRコードを使う」が正しいそうです。難易度高い!

しょうがないので、熱海までは新幹線で、そこから各駅で。各駅で遅いだけでなく、各駅でとまるので、けっこう時間がかかります。

夜はだいぶ豪華になりました。おにぎりまででました。
はつの炭水化物。これはテンションがあがりました。ここまでくると、大分、気分も良いです。空腹のつらさから逃れ、身体も軽くなり。
豆腐もなにもつけずに食べる豆腐でもここまで美味しいものがあるのだね、という印象。

6日目

今日は土曜日なので、仕事がないので、朝のトレイルウォークにも参加します。

40分くらい歩いて、吊り橋まで見に行きました。身体が重いのでつらい。ただ、身体を動かさないと、筋肉がなまるのではという懸念があり頑張ります。

それから、かえってきて朝風呂。ここの屋上の風呂とサウナが最高です。朝風呂最高。ひのきの匂いを書いているだけで癒やされます。

身体のだるさを除くと、だいぶ体調が良い印象です。
頭も、シャープですし、お腹も空かないですし。

体重も4キロも減っていました。ただ、これは水分や食べ物が身体に入っていないから痩せた可能性もあるだろうな、と思いました。固形物をほぼ食べていなかったので、身体の中身は空っぽです。

土曜日なので、少し気持ちもゆっったりして、緑のまぶしいテラスでベンチにかけていろいろ考えたりします。森林浴っていいですよね。目に緑、鳥の音、緑の匂い、風がふいて。味覚以外の全部の感覚を刺激してくれて、心地よいな〜という時間でした

思わず、将来のこととかもぼーっと考えたり、あるいは、過去のことをぼーっと思い返したり。
リトリート施設といわれるのもわかる気がします。身体をリラックスすると頭もリラックスするのはほんとやな、という印象まであります。良い気づきなどもありました。

ただ、仕事をしていたのは私と友人くらいで他の方は、転職の合間できたり、リタイヤ組だったり。本当はしごともせずゆっくりできた方が良いのだろうという印象も受けました。

昼はうどんとか。普段だと「少ない」という印象の量でも、断食明けで、よく噛みながら食べると「多い!いつまでたってもたべおわらん」というテンション。ただ、ボリュームもでてきて嬉しい。オレンジの甘みも感激。なんと、七味唐辛子まで。ただ、せっかくなので素材の味を楽しもうとそれは付けずに。

6日目ともなると、同じく断食している人とも話をする仲に。同じく海外の仕事をしている方がいて(57歳ですが)、仕事の話など。

なお、オプションの1時間マッサージなども頼むこともできます。非常に熱心にしてくださって、とても良かった。
スポーツマッサージの方にしてもらったのですが、的確なアドバイス(右の前肩が前に入りすぎ)などをいただき、姿勢をちゃんとせなあかんなと改めて。

6日目の夜はフルコース。とても美味。
最後のサウナに入って整います。

7日目

荷物をまとめて配送依頼。これで身軽にかえることができます。なお、事前に送ることも可能なので、その方が身軽ではないかと。

8時30分から朝食。かなりのボリューム。昼に外でご飯を食べたかったのでご飯を残す。おからパンは持ち帰り可能。

野菜を売りに来てくださって、みなさん購入。メンバーの人がシャインマスカットをかって売ってくれていました。シャインマスカット美味しいな〜。秋の味覚のシーズンにこれたのも良かった

帰りに回転寿司を食べて帰って、魚を満喫。コーヒーも美味しい〜。
仕事もはかどったし、心身も整ったし、かなり良い体験でした

気づき

  • ほんとに食事って大事なんだなという気づき(今更ですが)。特に素材ママの価値を体感。一度、断食で味覚がリセットされるので素材の味を楽しむということができた。普段だと、調味料とか刺激物食べてるので、この薄味の価値が気づきにくいのだよなと。いまなら井雪の価値をさらにわかるきがする。あと焼き鳥のタレと塩でタレ派だったのですが、いまなら塩の価値もわかる。美味しいお肉は塩で食べたい
  • 断食って意外とできる。3日間、食べなくても平気ってという体験は衝撃的。身体のエンジンが切り替わった感ある
  • 場所も大事。この断食を家でできたかでいうとやはりできなかった気がします。この少し家から離れた環境とサポート体制、そしてメンバーがいたからな気が。あと温泉とサウナが気持ち良く、空腹を紛らわせてくれました
  • 断食ぬきで、一週間、緑の中でワーケーションできたのも良かった。いろいろ頭をリフレッシュする機会になりました

終わり。

汝、星のごとく

移動時間があった。飛行機の時間。いつもだとビジネス書を読むのだけど、なんだか疲れていて。ゆえに小説を選んだ。
少し前に、何かでみかけて気になってkindleに入れていた小説。
「本屋大賞」の一冊のようで、本屋大賞は基本、外れがない。この時代に40万部突破はすごいな、と思う。

amazonのレビューが高すぎたのが逆に気になった。特に若いレビューコメントが目立つ。昔の携帯小説を思い返すような。
ともあれ、読み始める。冒頭から浮気を許容する夫婦という不思議な設定から始まる。
そして、情熱と冷静の間を思い返すような男女の視点で物語が進んでいく。20年という時を駆け足で。
空港から現地に向かう電車の中で読み終えた。まさに一気読みだった。中だるみのしないよくできた物語だった。
LINEやマッチングアプリなどの道具が、きちんとこの物語に活きていた。
そりゃ、ドラマチックな展開ばかりが起こったりするけれど、それってnetflixのドラマだってそうで。
私はこういうわかりやすい物語が好きだなと思い返した。久しぶりに一気に読まされた一冊でした。小説って良いなと思った。良い一冊でした。

夏への扉を読んだ

有名なSFの一冊なのに読んだことがなかったので、ようやく読んだ。夏の始まりに、海外に行く飛行機の中で読むにはとても適した一冊だった。ブリュッセルのラウンジで乗り換えをしている時に読み終わった。
エンターテイメントとしてとても楽しい。何よりタイトルが良い。

タイムトラベル系の本。1956年にかかれた本とは思えないほど、面白い。そりゃ70年前の本だから、未来に期待すぎる未来描写などもあるけど、それも含めて、味がある一冊。星新一的の魅力にも近い。

構いまなお、たくさんのランキングでこの本が上位にあげられているのがわかる。

>「うるさいわね、このおデブちゃんは。人生ってものは少しぐらい冒険しなきゃ生きていけないのよ。だから人生はおもしろいんじゃないの

> 親父はこうもいった。賢い人間は、いつでも荷物を捨てる用意をしておくべきだ、と。だが、これとてぼくの慰めにはならない。〝賢人〟と呼ばれるのは結構だが、そのためにいったい、なんど荷物を諦めればいいというのか

>あんたがたの夢みる未来の世界にも黄金の舗装道路はありません〟という手紙をくっつけて、おまえの来た年へ蹴り返してやりたいくらいだ

我々はこの手紙を受け取るわけである。

「この本を読んだよ」と友達と話したら、良い一冊だよね、と返してくれて、よく読まれている本の価値は人とのコミュケーションの素地となるものだと思った。

傲慢と善良 を読んだ

婚活をテーマにした小説。複数の登場人物から、この婚活で生じるメッセージを他面的に伝えている。

>ピンとこない、の正体は、その人が、自分につけている値段です

>恵もまた、真実と同じで狭い世界の優越感を誇り、この世界を漂っている人なのだ

人は自分がいきている小さい世界で人と比べながら活きていて、それがまさに婚活でも作用する

特に昨今はソーシャルでシェアされるので、ますますその傾向が強くなっていってるんじゃないのかしら、なんて話を聞いたこともある。

>他の多くの男性たちと同じ。鈍感で、だからこそ、

男性はベース鈍感な生き物というのは、40年いきてきて、まぁ実感すること多し

辻村 深月さんの本は、冷たい校舎の時は止まるもツナグも好きなので、この作家さんとは相性が良いのだと理解した。

セレンディピティを読んだ

セレンディピティの本。レビューでは「エッセイだ」みたいな批評があり、その言ってる意味もわかるけど、ただ、なんかわくわくする本ではあった

私的には
・運をひきよせる人は、普段から外交的で、人よりなにかに気づきやすい。笑顔
・運を引き寄せる努力をしている(知らない人と喋ったり、人に連絡をとったり)
みたいなのがtake awayでした

> 科学的研究という厳格な世界においてさえ、予想外は(ほぼ)常に起きている。重大な科学的発見の 30 ~ 50% 程度は、意図せざる偶然の結果生まれていることが研究によって示されている。

かなり大きい。

>愛もセレンディピティから生まれると言えるかもしれない。私がこれまでの恋人と出会ったのは、たいていコーヒーショップや空港だった。コーヒーをこぼしてしまったり、ちょっと席を外す間パソコンを見ていてほしいと頼んだりしたことをきっかけに会話が始まり、共通の趣味が判明することもあった。

人生はそんなロマンチックだったのか。

本では、同じ条件でも、ラッキーなことに気づける人、気づけない人がいるということが分析されている(カフェにおちているお金を気づける人、ビジネスマンの隣に座ってコミュニケーションできる人)。

>自由に使える思考モデルが 50 個ほどあれば、「世の中をうまくわたっていける」という

「これだ」と思うとその思考モデルにロックインされてしまう。そうならないように、自分なりの考え方のフレームをたくさんもっていることが重要

>でも恋人同士が別れてしまっても、ハッピーエンドのラブストーリーになることはある

この作者が恋人とスタバでであった。で、別れたけれども、ハッピーエンドになる話もあるという話。めっちゃふかいやん

>「悪いことが起きたときには、長い目で見よ」と言ったのはリチャード・ワイズマンだ ★ 4。

悪いことには価値がある。これは精神論なのか、ファクトなのかがよくわからないけれど、悪いことが起きた時はそれを何かのトリガーにして、改善に努めれば、それは、プラスの価値を生むという意味では、そういう力学なのかも。

>くじけそうになると、スクール・オブ・ザ・デジタルエイジ( SODA)創設者のグレース・グールドから教えてもらった言葉を思い出す。グレースはジョン・レノンの有名な言葉をこんな風に言い換えていた。「物事はたいてい最後にはうまくいく。うまくいっていないなら、まだ最後ではないということだ

show must go on!

>イベントで退屈な相手に話しかけ、つかまってしまったと文句を言う人はあまりに多い。相手は「実のある話」をしなかった、自分と何ひとつ共通点はなかった、などと言う。だが相手にダメ出しをする前に、会話をもっと刺激的なものに変えるかもしれない質問をしてみるべきなのだ。

こういう気の利いた質問ができると、いろいろ人生がはかどるんでしょうね

ぺろさんは「うまれかわったら誰になりたいですか」ときいてるとおっしゃっていたような。

>会話の糸口として有効な方法の1つは、自己紹介タイムに仕事上の肩書ではなく、現在の心境、ワクワクすること、今直面している課題について語ってもらうことだ。参加者が「今、こんなふうに自分を変えようとしていて……」と語り始めると、たいてい今同じような課題に直面している、

質問例

>20年後に失望するのは、やったことよりもやらなかったことだ」というマーク・トウェインの有名な言葉がある。

マークトウェインの言葉とは知らなかった

>投資家に会社としての考えを伝え、コストが発生することも伝えつつ、「予想外にどう対応するかが、会社としての価値観や文化を決定づける」と説明したという。

困難な時の会社のスタンスが会社の文化を決める。いい話やな

>アダム・グラントは「ギバー(「自分は人のために何ができるか」を考え、他者に付加価値を与えることが内的動機づけとなる人)」のほうが「テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)」よりも大きな成功を収めることが多い、と書いている。これはサービスが最も重要な差別化要因となる分野において特に顕著だ

この話はしりませんでした。ゲーム理論だったら、報復パターンが一番サバイブするんじゃなかったかしら。

>リチャード・ワイズマンの最近の研究は、クリスタのような「幸運な」外向型人間はさまざまな理由から人やアイデアを引き寄せることを明らかにしている。ただその根本にあるのはシンプルな行動だ。他の人と目を合わせる、笑みを浮かべたり、オープンで相手を受け入れるようなしぐさをすることが多い ★ 35。幸運な人は不運な人より笑顔を浮かべる頻度が 2 倍高く、オープンなボディランゲージを使い、相手のほうにしっかりと身体を向ける。それによって相手は信頼感を抱き、「魅力」を感じるの

セレンディピティの引き寄せ方がこんな風にまとめられるなんて!

ようは笑顔で、人を安心させるようなコミュニケーションがとれることなんや。

>幸運な人はたいてい、ふつうの人より肩の力が抜けている。不安は機会をつかむ妨げとなる。心理学者のリチャード・ワイズマンはある実験で、被験者に新聞を渡し、写真が何枚使われているか数えてほしいと頼んだ。ほとんどの被験者は 2 分前後かけて、すばやく写真を数えた。見直しした人もいた。だが 2 ページ目に大きな見出しで「この新聞には 42 枚の写真が使われている」とデカデカと書かれていたのに気づいた人は 1 人もいなかった。写真を数えることに集中しすぎていたために目に入らなかったのだ。 100 ポンドを手に入れるチャンスも逃してしまった。新聞には「写真を数えるのをやめて、試験官にこの広告を見たと伝えれば 100 ポンドもらえます」と書かれた大きな広告が掲載されていたのだ。しかし写真ばかり見ていた被験者には、この広告も見えなかった。一方ワイズマンが「新聞に何か珍しいものがあったら報告してほしい」と伝えたところ、被験者の見る目が変わり、上に挙げたメッセージにすぐに気づいた。

セレンディピティに気づける人は、機会を人よりも見つけやすい特性がある

>学生や若い社会人から「どうすれば有意義な人脈ができますか? 知り合いがあまりいなくて」という質問をよく受ける。  起業家でコロンビア大学の非常勤助教授でもあるマッタン・グリフェルは「数千個のささやかなセレンディピティ爆弾を仕かけよう」と説く。たとえばダメ元で憧れの人にメールを送ってみる。実は返信が来ることは驚くほど多い。

セレンディピティの引き寄せ方2.メールを送りまくる

>それ以上に衝撃的なのは、ネットワークに十分な多様性がないと、セレンディピティが起こらなくなってしまうことだ。

仕事でも多様性が重要といわれるのは、実際に多様性とアウトプットの精度が相関するなんだろうな

>重要なのは批評家ではない。勇気ある者の失敗をあげつらう者でもなければ、行動した者に「もっとこうすれば良かった」と注文をつける者でもない。称えるべきは、現場に身を投じ、埃と汗と血にまみれた顔をしている者。勇敢に戦った者。挑戦に失敗や力不足はつきものであることを理解し、失敗や挫折を厭わない者。もがきながら事を成し遂げようとする者。すばらしい情熱と献身を知っている者。高邁な理想に身を投じる者。うまくいったときには偉業を成し遂げた達成感を味わい、うまくいかなかったときでも少なくとも大胆に挑んだ末に敗れる者だ。こうした者たちが勝利も敗北も知らない冷淡で臆病な者と同列に扱われることは決してない

内村鑑三さんの「勇ましい高尚なる生涯」という話と繋がるなー

>ダックワースはさまざまな分野で成功している人々を分析した結果、グリットのほうが才能よりはるかに重要であることを示した

これもいい話やなー

>サミュエル・ベケットの言葉を借りれば「何度も失敗せよ、そして前より上手に失敗せよ」

これをよんで思い出した。最近、ある人に以下のtedを教えてもらった

趣旨は、今のような複雑な社会で、正解を見つかることなんてめちゃめちゃ難しいのだから、いろいろトライアンドエラーをして失敗をたくさんして、そこから改善していくことが重要という話し。

ええ話やなー。

そういう意味でも、現代の教育で重要なのは「正解」を教えるのではなくて「失敗する方法(そしてその失敗からより良い正解をみつけていく方法)」を教える方が重要そう。それがビジネスの世界では、リーンスタートアップ(とりあえず出して、フィードバックを得る)というものになっているけど。

>複数のミーティングを集約する方法はいろいろあり、非常に効果的だ。私は面談を希望する人から連絡を受けると、たいてい自分が主催するオープンディナーに招待する。そうすることで私自身も集中して仕事に取り組む時間が増えるし、相手も他のおもしろい人たちに出会うことができる

いいね、あいたい人同士の飲み会を設定

>近況報告として送った 4 本のメールは、経済的にも人生においても途方もないリターンを生み出した。

転職の相談メールで送ったメールがものすごい価値を生みだした話

> ジョナサン・ローソンらは、ロンドンのニュークロスゲートと郊外のブリストルにあるコミュニティを舞台に、社会的ネットワークによって幸福度がどのように向上するかを調べた。その結果、郵便配達員のような「顔見知りの他人」が地域のニュースや情報を広めるのに大きな役割を果たしていることがわかった。

ネットワーカーの価値

>さらに一歩踏み込むと、近年の研究ではちょっとした弱みを認めること、あるいは自らそれを打ち明けることが、きわめて生産的であることが明らかになっている。

弱みを出すことの効用