月別アーカイブ: 2023年9月

汝、星のごとく

移動時間があった。飛行機の時間。いつもだとビジネス書を読むのだけど、なんだか疲れていて。ゆえに小説を選んだ。
少し前に、何かでみかけて気になってkindleに入れていた小説。
「本屋大賞」の一冊のようで、本屋大賞は基本、外れがない。この時代に40万部突破はすごいな、と思う。

amazonのレビューが高すぎたのが逆に気になった。特に若いレビューコメントが目立つ。昔の携帯小説を思い返すような。
ともあれ、読み始める。冒頭から浮気を許容する夫婦という不思議な設定から始まる。
そして、情熱と冷静の間を思い返すような男女の視点で物語が進んでいく。20年という時を駆け足で。
空港から現地に向かう電車の中で読み終えた。まさに一気読みだった。中だるみのしないよくできた物語だった。
LINEやマッチングアプリなどの道具が、きちんとこの物語に活きていた。
そりゃ、ドラマチックな展開ばかりが起こったりするけれど、それってnetflixのドラマだってそうで。
私はこういうわかりやすい物語が好きだなと思い返した。久しぶりに一気に読まされた一冊でした。小説って良いなと思った。良い一冊でした。

夏への扉を読んだ

有名なSFの一冊なのに読んだことがなかったので、ようやく読んだ。夏の始まりに、海外に行く飛行機の中で読むにはとても適した一冊だった。ブリュッセルのラウンジで乗り換えをしている時に読み終わった。
エンターテイメントとしてとても楽しい。何よりタイトルが良い。

タイムトラベル系の本。1956年にかかれた本とは思えないほど、面白い。そりゃ70年前の本だから、未来に期待すぎる未来描写などもあるけど、それも含めて、味がある一冊。星新一的の魅力にも近い。

構いまなお、たくさんのランキングでこの本が上位にあげられているのがわかる。

>「うるさいわね、このおデブちゃんは。人生ってものは少しぐらい冒険しなきゃ生きていけないのよ。だから人生はおもしろいんじゃないの

> 親父はこうもいった。賢い人間は、いつでも荷物を捨てる用意をしておくべきだ、と。だが、これとてぼくの慰めにはならない。〝賢人〟と呼ばれるのは結構だが、そのためにいったい、なんど荷物を諦めればいいというのか

>あんたがたの夢みる未来の世界にも黄金の舗装道路はありません〟という手紙をくっつけて、おまえの来た年へ蹴り返してやりたいくらいだ

我々はこの手紙を受け取るわけである。

「この本を読んだよ」と友達と話したら、良い一冊だよね、と返してくれて、よく読まれている本の価値は人とのコミュケーションの素地となるものだと思った。

傲慢と善良 を読んだ

婚活をテーマにした小説。複数の登場人物から、この婚活で生じるメッセージを他面的に伝えている。

>ピンとこない、の正体は、その人が、自分につけている値段です

>恵もまた、真実と同じで狭い世界の優越感を誇り、この世界を漂っている人なのだ

人は自分がいきている小さい世界で人と比べながら活きていて、それがまさに婚活でも作用する

特に昨今はソーシャルでシェアされるので、ますますその傾向が強くなっていってるんじゃないのかしら、なんて話を聞いたこともある。

>他の多くの男性たちと同じ。鈍感で、だからこそ、

男性はベース鈍感な生き物というのは、40年いきてきて、まぁ実感すること多し

辻村 深月さんの本は、冷たい校舎の時は止まるもツナグも好きなので、この作家さんとは相性が良いのだと理解した。