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安上がりの幸せ

今日、靴下を干すハンガーを新調した。
元々はプラスチックのものだった。引っ越しした時に、とりあえずで買った一品だ。色もイマイチだったがリニューアルまで至らなかった。
しかし、先日、太陽の光を存分に浴びたソレは、いつしか朽ちていった。パラパラとつまむところが落ちていった。
こりゃいかん、と新調した。
ステンレスのシルバーの一品。雨にも強いし、色も、タオルハンガーと同じだ。気持ち良い。
これで靴下を干すのが少し楽しくなった。
小さな幸せ。
村上春樹は「小確幸」という概念を提唱していた。
「小さな、確実な、幸せ」ということで、例示として「早朝のまだ誰もはいっていない、静かなプールで泳ぎだす一瞬」などを上げていた。
そのような小さな幸せは、時に静かに人生を色付ける。
大きくはないし、イベントではないし、人と共有するものでもない幸せなのだけれど、そういうものたちが人生を結局のところ彩るのだ。
毎日結婚式が行われるわけではなし、毎週運命の出会いがあるわけではなし、毎年家を買うわけではなし。
そうではなく、日々に埋もれる小さな出来事の総体を人は人生と呼ぶ。
たとえば、個人的には(前も書いたかもしれないけれど)、休日に朝シャワーを浴びて、外に出ると、初夏の風が吹いていて、そして太陽がまだ強く差さないけれど暖かく降り注ぐ頃の光を浴びるということが好きで。
あるいは、ブランチのコーヒーの匂いや土曜日夜のカウントダウンTV(最近は見ることもなくなってしまったけれど)や、映画の予告編やそんなものが小さな幸せだけれど、欠かせない幸せだったりする。
そして、どれだけそのような小さな幸せをかき集めることができるかが、モチベーション管理にも繋がるのではないかなぁ、と思ったりする。
宝クジで1億円をあてる幸せを願うより、朝食べるフルーツトマトの冷たさに幸せを感じる方がなんだか健全だ。
よく考えれば、私がマラソンを続けているのも、終わった後に飲む水のうまさのお陰かもしんない。