なんとなくブログを書きたくなったので、過去の書評を引っ張り出してきてポスト。省エネ。
いつぞやかおすすめした本多さんの本。本筋はイマイチなのだけど、相変わらずディテールが素晴しい。
特に素晴らしく気に入っている一文がこれ。
エリートは貸しを作ることは気にしないけれど、借りを作ることは嫌う。
資本主義というシステムを知り尽くしているからだ。
借りには必ず利子がつくことをわかっている。
これですよ。
素晴しい慧眼。ここまで資本主義の本質をついた文章は見た事がない(言いすぎ)。マルクスも本多さんよめ。
いやさ、でも、これは恐ろしいほど真実で。
まぁ、金とか借りは作らないに越したことはないんだけど。さらに、気付かずに作ってしまうのが「時間」という借りね。これ以外と、知らない間に回りに借りを作ってしまう。
たとえば「遅刻」。あるいはアポの「延期」。これとか全部、借りを作っているわけですよ。まぁ、でも、この辺の「貸し借り」の概念は理解しやすいはず。
で気をつけたいのが「メールの返信レスポンス」。これって借りなんですよ。多分。てか最近、気付いたんだけど。
返信ってさ、同じ文面を返信しても、早いか遅いかで価値が全然変わってくるんですよね。特に、なんか参加数r申し込みとかもさ早いほうがいい。飛行機もそうじゃないですか。早割りがあるように、早いほうがいい。
つまり、メールの返信が遅れるのは相手に借りを作っているんですよ。で、資本主義の原則においては、借りはすべて負債。
なんてことを思っていたわけですが。まぁいいや。MISSINGに戻ろう。似たような言葉がもう1度。
「学習しただけです。おつりを返し損ねると利子が高くつく。」
「何?」
「資本主義社会における単純な経済学です。」
ということですね。
借りにはそして利子がつく。返信を忘れたメール1通が、どんだけ負債を生み出すことか。どうでもいい話だけど、この三連休は数ヶ月間に返せていなかったメールを返した気がする。1年ぶりとかのレスは迷惑以外の何ものでもないだろうけど、借りとか抜きでなんだか返したかった。
で、MISSING.
どんなシーンか忘れたけど、主人公(男)の前で女性が服を着替えるシーン。恋人同士ではない。
上田さんは僕が期待したとおりのことを僕が期待したのとはちがう方法でやったパジャマを着たままワンピースを頭からかぶり、背中のファスナーをあげないまま、服の中で両手を動かして上田さんは起用にパジャマの上を脱いだ裾からパジャマの下も出てきた。
「小学校のころから不思議だったですけど」と僕は言った。
「女の子はいったいいつごろその特殊技術を習得するんです?」「見せることに値段がつくって気付いたころからよ」
それが本当とするなら、小学生のころから男の子と女の子との間にはものすごいさがついてくる。ひょっとしたら男の子は永遠に女の子に追いつけたりなんてしないのかも知れない。
同意。
そして、永沢さんの紳士論にも通ずる素晴しいアフォリズムがこれ。
「言わないのね?」
「はい?」
「もう帰ろうって」「せっかくのデートですから」と僕はいった。
「デートを終わらせるのは女性の役目です。引き伸ばすのが男の役目」
キザすぎるという話はあるけど、なかなか応用が利きそうな言葉。
これを見るとノルウェイのラストシーンを思い出した。主人公が最後、レイコさんとすき焼き食べた後のシーンで「いいしわです云々」というシーン。なんか、あのシーン、好きだなぁ。
まぁいいや。じゃあ、最後。
「先人たちがむちゃくちゃに傷つきながら築きあげた平和の中で」そのおばあちゃんたちを眺めながら僕は言った。
「うん?」
「魂を汚さぬように鍛えながらロマンチックな大人になる」
「何だ、そりゃ?」
「学習の結果に生まれた将来の目標」
特にひねりのある文章ではないのだけれど。魂を汚さぬようにってのが良い。そしてロマンチックな大人ってのが良い。大人はそもそもリアリスティックでプラグマティックだからこそ、やっぱりロマンチックでいたいですね、そうですね まる。
#クラーク博士も「Boys Be romantic」って行っていれば少し世界は変わったのかしら。
2007年、劇的に楽しませてもらった小説12作
最近、あれがアレゲな感じでございまして省エネエントリ。で、2007年に読んだ本のレビューしようと思ったらもう2月ですが、まぁ、そういうことで。 過去のは以…