」カテゴリーアーカイブ

2006年、刺激した小説12冊

さて毎年恒例(嘘)の本紹介です!
本がないといきていけまっせん!今年もなんだかんだ100冊くらい読んだでしょうか(多いか少ないかは別として)。社会人なって読めなくなるかおもたけど、仕事で疲れたら、逃げるように読書していた記憶がある。
ということで2006年読んで面白かった本10冊(発売日が06年ではなく原田がよんだだけ)。
去年はこうでした。
2005年、原田の脳髄を刺激した小説12冊
こんなのも書いたなぁ。
最強の現代青春小説 12冊
ちなみに、一作家一作品に縛りました。でないと、伊坂さん、石田さん強すぎる。
ほんでは。


■番外 模倣犯

模倣犯1
模倣犯1

posted with amazlet on 07.01.09
宮部 みゆき
新潮社
売り上げランキング: 48932
おすすめ度の平均: 5.0

4 覚悟を持って読んでください 二三日徹夜が続きます
5 渾身の大作 破壊された人格が生む悲劇
5 大作

番外にしたのは1月くらいに読んだから感動が薄れていて、順位に入れにくかったから。
あと、壮大すぎて評価難しい。面白かったという記憶はある。ミステリーの女王、宮部みゆきここに健在。
でも江戸ものばっかりかかんと、たまには龍は眠るとか、レベル7とかみたいなの読みたい。ドラクエしすぎだ。

■10位 流星たちの宴

流星たちの宴
流星たちの宴

posted with amazlet on 07.01.05
白川 道
新潮社
売り上げランキング: 93860
おすすめ度の平均: 4.0

4 狂った時代に踊った日々
4 ブラックマンデーの翌朝は?
5 バブルの裏側で繰り広げられていたドラマ

広告代理店出身の作家って有名なのは3人くらいしかいなくて、1人が、なんちゃらという人。萩原浩?
ともあれもう1人が、あれだよ いおりさん。藤原伊織。あと、あれだ。この人、白川さん。だよね?嘘?
まぁ、ともあれ。面白いよ。バブル前の、株の世界に飛び込んだ男の物語。半分実話だとか。ヤクザとの絡みとかサンクチュアリを思い出して面白かった。
この人は短編で知ったなぁ。なんちゃらグラスっていう短編がよかった記憶が。

■9位 阿修羅ガール

阿修羅ガール
阿修羅ガール

posted with amazlet on 07.01.05
舞城 王太郎
新潮社
売り上げランキング: 8255
おすすめ度の平均: 3.5

4 すごいとは思う
4 どーん!
2 純文学?

なんだっけ?現代の新鋭3人集の1人。
いわく、佐藤 友哉と西尾いしんと舞城 王太郎。だったよね?嘘だったらごめん。ノベルスの王者か。メフィストの3人集だった?まぁあやふやな記憶。
ともあれドッタバタが面白い。
メモを見たらこう書いてた。

後半が、カオスに向かって加速しすぎ。
リミッター振り切っている。

■8位 ゆっくりさよならをとなえる

ゆっくりさよならをとなえる
川上 弘美
新潮社
売り上げランキング: 71072
おすすめ度の平均: 4.5

5 ゆっくりさよならをとなえる
4 さびしさがうつるけどたのしい
5 かっこよくて憧れる!

なんか内容ちっとも覚えてないのだが、すげー面白かった記憶がある。
それから川上さんに傾倒して文庫はかなり読んだ。
どうせ○○のようなヌルイ小説だろ、とか思ってたんだけど、独特の世界は凄い。いや、凄いっていう形容詞って、非常に語彙が貧困な感じがするけどあれですよ。じゃあこういえばよいかな?
河童とシリトリしてまけた時の心境?
そんな感じ。
難しい言葉で言えば、四角定規。

なにしろ小説を書くときには、
なるべく直接な説明というものをしたくない。「悲しかったです。」と書く代わりに、「空がとても青くてジェット機も飛んでいて、私はバナナパフェ
が食べたかった」などと書いてしまうのが、小説である(多分)。

■7位 上海ベイビー

上海ベイビー
上海ベイビー

posted with amazlet on 07.01.05
衛 慧 桑島 道夫
文藝春秋
売り上げランキング: 125991
おすすめ度の平均: 3.5

4 色々な単語が思い浮かんでくる
1 日記
5 表現がとてもキレイ・・・

これ前のエントリーで書いたから説明省く。
上海ベイビィ

■6位 MISSING

MISSING
MISSING

posted with amazlet on 07.01.05
本多 孝好
双葉社
売り上げランキング: 105257
おすすめ度の平均: 4.0

3 MISSING
4 結構好きです。
5 痛々しい程・・・

本多さんはめっけものだったね。
06年に出会った一番良い作家かも知れない。短編が多いんだけど、なんつーか、雰囲気がいいんだよ。春樹系?ちょっと違うかな。
でもウィットが聴いていて。事件はおこらないんだけどね。なんつーの?土曜日の転寝からめざめたあとの布団のぬくもりというような嬉しさ?
この短編の瑠璃っていうのが珠玉。
下記も原田ライブラリより。
この比喩、すばらしすぎないですか?これに共感してくれると嬉しいなぁ。嫌いな人は嫌いだけろうけど。

一ヵ月後に訪れたその年の夏は暴力的とも呼べる暑さだった。
「文句あるなら言うてみいや」と太陽がなぜか関西弁で啖呵を切りながら空を独占していた

女の人は警戒した顔つきで聞いた。パーマのかかった髪を乱暴に後ろで結びワンピースを着ていた。べつにどうでもいいんだけど、裸ってわけにもいかないし、という感じの着こなしだった。
ご飯とおかずが一緒になっているという理由でオムライスを好むタイプだ。

「ダースベーダがきたことにしよう」と僕は自分に言い聞かせた
「夜中にダースベーダがやってきて、ライトサーベルで車をむちゃくちゃに壊したんだ」
「どうしてダースベーダが車を壊すのよ」
散歩中の犬と飼い主とをまとめてひき殺しそうになりながらルコは僕に効いた
「きっとそこにルークスカイウォーカーがいると思ったんだ」と僕は答えた。

■5位 運命の息子

運命の息子〈上〉
運命の息子〈上〉

posted with amazlet on 07.01.05
ジェフリー アーチャー Jeffrey Archer 永井 淳
新潮社
売り上げランキング: 73355
おすすめ度の平均: 3.5

2 ラストで台無しに・・・
4 運命のいたずらに翻弄される双子の兄弟の話
3 もうそろそろ飽きてきた。

ひさびさにアーチャー読んだよ。
牢獄なげーよ、オッサン。
中学校のころからだから、かれこれ10年以上も溺愛する作家。
いろんな意味でイギリスを代表するオッサン。短編が強いけど、独特のアーチャー節の長編も有名という両方できる鬼な人。両方できる人ってあんまりいないよね。
こんかいは後者。いわゆるアーチャー的物語。立志伝?
成長物語っていうんですか。いわゆるドラゴンボール的。ちっひーとかに是非とも読んで欲しい。
あと政治関係の本としては昨年、「ダイスを転がせ」も読んだけど期待していたわりには、超いまいちで泣けた。

■4位 秋葉原@DEEP

アキハバラ@DEEP
アキハバラ@DEEP

posted with amazlet on 07.01.05
石田 衣良
文藝春秋
売り上げランキング: 38933
おすすめ度の平均: 3.5

4 漫画のような読み易さ
1 ラノベ?
2 専門家にはオススメしきれない

いやーなめてたよ。てかさ、石田良衣さんってさ、何からよんだったんだっけなあ?なんか初めて読んだ本がイマイチな本で、ちょっと苦手な印象があったんだよ。
でもさ、この本を友達が読んでいるのを見てためしに読んでいたら感動した。泣けた。
なんてここまで完璧なエンターテイメントを書けるのだ、と。いやラストに関してはみなまで言うな。やむなし。
それから、14と娼年を再読。さらに、ウェストゲートパークまで読んでしまった(ドラマ化されて毛嫌いしていたのに)。
いやー、エンターテイメント性を批難する人もいるかしらんけど、ここまで完璧にドラマトゥルギーを書き切れたらそんなの凌駕しますですよ。R25のエッセイもちゃんと読むようにしよう。
このベタさ加減がかっこいいんだ又 ↓。

わたしたちは本源的な予測不可能性を指して未来という

■3位 ダブルダウン勘繰郎

ダブルダウン勘繰郎
ダブルダウン勘繰郎

posted with amazlet on 07.01.05
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 56122
おすすめ度の平均: 3.5

4 西尾が
4 一番『楽しめた』一冊。
5 とてもよかったです

西尾さんいいよねー。天才だよねえ。森さんいなき今(います)、もうノベルスを背負うのは彼しかいない(そんなことはない)。
でもちょうど「彼がいなくなったら、小説界つまんなくなるよなぁ」と言っている友人がいて、なかなか同意。○談社の○藤兄とも意気投合した覚えがある。
まぁ最高傑作は戯言シリーズという向きもあろうが、僕は全部読みきれてないので(3作目あたりまで、たしか。くびきりハイスクールまでだったかな)、ともあれ、これよかったよ。
あと、なんだっけ?「りすか」もさー、「またシリーズものかよ」と思ったけど、さすが維新。すげーよ。泣けた。あの筆力とこのスピードハンパない。てか、彼って僕より年下だったのでは?違う?
ともあれ、これは清涼院流水と組んでいるとかんでたけど、登場人物が流水さんの人なの?知らないんだけど。これもつい先日仕入れた情報なので未確認。流水さん本なげーよ。挫折した記憶がある。
ともあれ、これかっけーよ。
ベタだけど、ベタにかっこいい引用。

カールマルクス曰く最後の言葉なんてものはいい足りなかった無能のためにある

■2位 四季 春

四季 春
四季 春

posted with amazlet on 07.01.05
森 博嗣
講談社
売り上げランキング: 3140

森さんは四季で才能を使い果たした説もあり(友人曰く)。
スカイクロラシリーズが好きな人はいいんだろうけど。こないだ読んだなんちゃらも泣けるほどぱっとしなかった。でもエッセイはやはり今でも読んでしまう。
ともあれ、でも、この四季だけでも、なんというかそこら辺の小説家をなぎ倒すほどの力があるような気がする。
いわばM&Aと、なんちゃらシリーズ計20冊前後の集大成にあたるこの四季。四巻セットだけど(春、夏、秋、冬)。
てか、やっぱり、森さんのこのシリーズは、「すべてがFになる」から全部読んで欲しいですよ。この伏線に感動しますよ。20冊以上の物語が絡まって1つになる瞬間は鳥肌もの。さいかわ先生萌え。

■1位 重力ピエロ

重力ピエロ
重力ピエロ

posted with amazlet on 07.01.05
伊坂 幸太郎
新潮社
売り上げランキング: 2989
おすすめ度の平均: 4.0

4 うらやましい兄弟愛
5 春が二階から落ちてきた。
5 未知・悲壮・繋がり

これもいつぞやか引用したけど、やっぱり伊坂さんすげーよ。
も引用したけど。

「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」
春は誰に言うわけでもなさそうで噛み締めるように言った。
「重いものを背負いながら、タップを踏むように」
「ピエロが空中ブランコから飛ぶ時、みんな重力のことは忘れているんだ」

まず、どの小説もほぼ平均以上のクオリティがある。
重力ピエロを筆頭に、砂漠だとか、オーデュポンだとか、陽気なギャングだとか全て死ぬまでに読んでおきたい一冊。ただやはり青春ものか。
前までは、友人に「何の本おすすめ?」と聞かれたら、安全牌として「村上春樹」「ポールオースター」「村上龍」「宮部みゆき」「山田詠美」あたりを相手の嗜好にあわせて勧めていたのだけど、最近は伊坂いちおし。
さてさて。
昨年内にしようとしてたのに年が明けてしまった。
なんかおもしょい本あったら是非とも教えてくださいまし。
さて、本年もがんばりませう。

筒井康隆を知る12冊の長編

このブログに何度となく出来ている筒井康隆大先生。
私の最敬愛するお方のうちの1人。
SF作家という肩書きだが、
役者もすれば、舞台も手がける。
漫画も描けば、クラリネットも吹く。
デザイン事務所を開いていた過去もあり。
氏との出会いを少し。
初めて出会ったのは、「時をかける少女」という小説だった。
小学生のころ、ちょうど、ドラマ化されていたのだ(多分、何回目かのドラマ)。
そして、中学生のころより本気でのめり込み、全集は言うまでもなく、
20年前だか30年前前後の「筒井康隆」特集をしていた雑誌までも買いあさった(実家に貯蔵)。
大学の頃は、念願かなって、氏にメール取材をさせて頂く機会も得て、それはそれはうれしかったとさ。
ということで。
 ・2005年、原田の脳髄を刺激した小説12冊
 ・原田の股間を刺激した漫画12冊
 ・涙腺を亀甲縛りにする青春映画12本
 ・90年代後半の青春を彩った音楽12曲
 ・最強の現代青春小説 12冊
 ・エンドルフィンを放出させる海外の美術館・博物館 12 上
 ・エンドルフィンを放出させる海外の美術館・博物館 12 下
 ・青春の時間を奪い去ったRPGゲーム 12本
に続きまして「筒井康隆 12冊」。
毎度のごとく、めっきり主観。
さらに、今回は短編など入れるときりがないので、長編縛り。


■12位 夢の木坂分岐点

夢の木坂分岐点
夢の木坂分岐点

posted with amazlet on 06.05.01
筒井 康隆
新潮社 (1990/04)
売り上げランキング: 92,236

夢の中を小説化した小説、とでも言えばいいのだろうか。
しかし、こう形容してしまえば、あまりにも陳腐。
夢の中の主人公が、そこで寝て
さらに夢を見る。
つまり、夢の階層化が始まる。
では、そこで主人公は、別の主人公になってしまう。
つまり、外側では異なる主人公を
内面では同じように描く夢の世界。
そして、その夢の不思議感を表現するための
描写。
とても不思議な小説。

■11位 敵

敵

posted with amazlet on 06.05.01
筒井 康隆
新潮社 (2000/11)
売り上げランキング: 69,596

断筆後の小説の1つ。
筆者の心境を反映したのが、定年されたエルダーパーソンが主人公。
突然、PCのネットに表われる「敵」が来たという話。
彼の周りに訪れようとする「敵」。
初期を彷彿されるカオスとドタバタが懐かしい。
ここだけ聞くと、
「阿修羅ガール」が出てくるね。そういえば。

■10位 霊長類南へ

霊長類南へ
霊長類南へ

posted with amazlet on 06.05.04
筒井 康隆
講談社 (1974/08)

某国のミサイル誤発射による地球滅亡までのシーンを描いた作品。
日本沈没なみの想像力。
もちろん氏の十八番「ドタバタ」は駆使されているのだが、
しかし、この人類滅亡をイメージするという想像力が一番見所。
「エヴァンゲリオン」のラストよりも、よっぽどリアルでシュールだと思いましたが。
未来関係では、短編の幻想の未来も捨てがたい。
ともあれ、この小説読み終えると、どっと疲れた記憶がある。

■9位  大いなる助走

大いなる助走
大いなる助走

posted with amazlet on 06.05.04
筒井 康隆
文芸春秋 (1982/01)
売り上げランキング: 708,532

文学賞の受賞までの裏側を描ききった問題作。
自身が直木賞候補になりながら、諸事情ゴタゴタで落とされた怒りを文学にまで昇華させた。
氏は、このように「アンタッチャブル」な世界を描く気骨あるジャーナリスト的
精神もあり、見ている方がはらはらすることがある。
これを読むと、文学賞が違うように見えるから不思議。

■8位 脱走と追跡のサンバ

脱走と追跡のサンバ
脱走と追跡のサンバ

posted with amazlet on 06.05.01
筒井 康隆
角川書店 (1996/12)

昨今、「ウェブ進化論」で、「あちら側」と「こちら側」の話が盛んだが、
この小説も「あちら」へ逃げようとする主人公が走り回る小説。
ドタバタ喜劇のように思えるのだが、
本質はもっと深い。
メタ構造やシュルレアリスム的構成など、SF作家としての挑戦が詰まった作品。
一気に読んでしまう。

■7位 エディプスの恋人

エディプスの恋人
エディプスの恋人

posted with amazlet on 06.05.01
筒井 康隆
新潮社 (1981/09)
売り上げランキング: 36,086

七瀬三部作の最終話。
七瀬は、エスパーで、相手の思考を読んでしまう少女。
これを聞くと、宮部みゆきの「龍は眠る」を思い出すが、
そこは、まったく違う世界。氏のウィットやアイロニーが存分に配置されている。
第一部の「家族八景」は、オーソドックス」
第二部、そして第三部で世界がわけのわからん明後日の方向につっぱしり
「神様的存在」が出てくる。
これを中学生だか高校生だかで読んだ僕は
自我が出来ていないまま、脳髄をえぐられたようで、
良い意味でのトラウマになってしまった。

■6位 パプリカ

パプリカ
パプリカ

posted with amazlet on 06.05.01
筒井 康隆
新潮社 (2002/10)
売り上げランキング: 31,042

夢探偵的少女が主人公。
これも宮部の「ドリームバスター」を思い出すが、まったく毛色は違う。
この小説のために、氏は夢の中まで降りすぎて、
あまりにも怖い夢に触れてしまい
ある朝、起きると、髪の毛が真っ白になっていたという経緯がある。
しかも、胃に穴まで開いた。
夢の持つ力を命を賭けてまで描いた鬼のような作品。
フロイトに傾倒されていた過去が垣間見える。
ちなみに、僕が「筒井本を、どれ読んだらいい?」と聞かれると
とりあえずこれは候補に入れるようにしている。

■5位 朝のガスパール

朝のガスパール
朝のガスパール

posted with amazlet on 06.05.01
筒井 康隆
朝日新聞 (1992/07)

新聞連載されたときの作品。
何が凄いって、あの時代に、ネットを使った文学を行っていた。
1992年発売だから、90年前後ですよ。
その当時に、その朝に小説が公開される。
そのフィードバックが、読者からパソコン通信に送られる。
それを受けて、氏が今後の物語の方向性を決める。
そして、単純にパソコン通信で、情報やり取りをするのではなく
フォーラムをつくり、そこでの流れさえも文学にしてしまっている。
荒らしが当時も出てくるのだが、
それでさえも、登場人物にしてしまうという無謀。
この構想を、現実に行ってしまったという事実は
文学史に残すべきむちゃくちゃのような気がする。
朝日新聞ですよ?

■4位 文学部 唯野教授

文学部唯野教授
文学部唯野教授

posted with amazlet on 06.05.01
筒井 康隆
岩波書店 (2000/01)
売り上げランキング: 14,308

象牙の塔と呼ばれている大学の世界の裏側を描いた作品。
同時に、文学の(批評の)歴史も描いており
二重構造になっている。
宮部をよく出したので、さらに出すならば「レベル7」的な二重構造。
ちょうど、このころ氏はハイデガーをしていて、
それで、さらに胃が穴を開いたという話があった。
パプリカで1個、唯野教授で1個の2個である。
命賭けすぎ。
これを読んだら、
構造主義とか記号論の知ったかが出来る虎の巻。

■3位 残像に口紅を

残像に口紅を
残像に口紅を

posted with amazlet on 06.05.01
筒井 康隆
中央公論社 (1995/04)
売り上げランキング: 19,596

文章の中から言葉が消えていくという小説。
例えば、最初に「パ」という文字が消える。
その世界から、「パン屋」は消えてしまう。
そんな思いつきのような発想を
現実に文章にして、完結してしまったという筆力がすさまじい。
間違って使わないようにキーボードに押しピンをおいて
打ったという噂まで流れたほど(実際はシール)。
博覧強記を裏付ける語彙力。
そして、滅多に描かなかった濡れ場をここでは初疲労。
しかし、使える表現が限られているので、明治文学みたい。
発売当初は、後半を袋とじにして
これを開いてない限り、「現金を返す」という無茶をした作品。

■2位 虚人たち

虚人たち
虚人たち

posted with amazlet on 06.05.01
筒井 康隆
中央公論社 (1998/02)
売り上げランキング: 44,174

今までありえなかった小説をつくろう、的なコンセプト。
・現実の世界では絶対に起こりえない事件を同時多発(例:家族が同時に別々で誘拐される)
・読者と、物語の速度が同じ(1ページ5分だったかな?主人公の意識が飛んでいる間は、真っ白なページが続く)
・登場人物たちが、自分は小説の登場人物だと認識している。
・登場人物たちは、個々別々の物語の主人公
・トイレや食事など、本来なら省かれる世界も描かれる
などなど、もうなんいうか、形容すべき言葉を持たない。
いわんや批評をや。
人間の底力というか、鬼気迫る言葉を感じることが出来る。

■1位 虚航船団

虚航船団
虚航船団

posted with amazlet on 06.05.01
筒井 康隆
新潮社 (1992/08)
売り上げランキング: 70,172

中学生のころ読了して「理解できなかった」世界。
高校のころ、やっと読めるようになった。
その頃、友達に貸すと、ギブアップした。
三部構成。
1部は、文房具が主人公。
ホチキスがコココココとしゃべります。
しかも、地の文が省略されすぎ。
小林秀雄を超えた省略。
二部は、イタチたちの世界史。
つまり、人間の世界史をイタチ化している。
三部は、その融合的。
ジョイスの手法をも利用しており、
筒井氏の日常が、個々にも紛れ込んでいる。
もうはちゃめちゃというか、メタ文学というか、SF文学の最高峰というか、
リミッター振り切りすぎ。

原田の股間を刺激した漫画12冊

以前、ブサイコのメンバーが漫画レビューをやっていたので、
なんとなくそれを模倣。
2005年、原田の脳髄を刺激した小説12冊に引き続き、個人的に漫画レビュー。
漫画家別で。
比較的オーソドックスなチョイスだと思われ。
個人的に絵が奇麗な漫画を好む傾向にある。
そうねー、アツイ(死語)漫画ってのでどうでしょうか。
「読み終えると、テンションがあがる本」というか。
癖のある漫画、というか。
とりあえず、下記に挙げた漫画は
一応全部持っている上でのレビュー。
逆に全部持っていないのは、好きでも除外した。


まずは、有名すぎるので番外の二作品。
■番外 井上 雄彦 (スラムダンク)

SLAM DUNK 完全版セット  24巻
井上 雄彦
集英社 (2002/04/25)
売り上げランキング: 1,780
おすすめ度の平均: 4.89

5 やっぱり最高!!
5 歴史に残る最高の漫画!!
5 面白いし凄く感動する漫画!

説明不要ですわな。
僕がバスケを始めたきっかけにもなった。
ジャンプでデビュー作の「かめれおんジェイル」を読んだのは
確か、小学校の低学年くらいだった気がするが
今でも記憶に残っている。
バカボンドは、実は5巻あたりで挫折した。
あと、リアルは3巻で飽きてしまた。
■番外 冨樫 義博 (レベルE)

レベルE (Vol.1)
レベルE (Vol.1)

posted with amazlet on 06.01.21
冨樫 義博
集英社 (1996/03)
売り上げランキング: 4,207
おすすめ度の平均: 4.71

5 宇宙人ですよ
5 ☆最高☆
5 最高です!

富樫さんは「幽遊白書」で有名ですな。
最近は「ハンターハンター」だけど。
しかし、そのような長編ではなく、この「レベルE」にこそ
彼の脳が詰め込まれている。
筒井康隆好きをにおわせるシリーズでもある。
漫画の限界に挑戦している。
最近は、落としすぎが、直ってきたようで何より。
なんというか鬼才ですよね。
■例外 倉田 真由美(だめんず・うぉ~か~ )

だめんず・うぉ~か~ (7)
だめんず・うぉ~か~ (7)

posted with amazlet on 06.02.06
倉田 真由美
扶桑社 (2004/07)
売り上げランキング: 43,934

ごめんなさい。
例外です。
でもあげたかったんです。
だめんずうぉーかー読むと、なぜかテンションがあがりますよねえ。
他のクラタマさんのは大体読破したほどのファンです。
あのやる気のなさが大好きだ。
ソフトオンデマンドでがなりさんに取材に行ったときに
偶然お会いしたけど
とても奇麗な人だった。
かなり感動した。
 蛇足。それを自慢したかっただけ。てへ


■12位 江川 達也(東京大学物語)

東京大学物語 (1)
東京大学物語 (1)

posted with amazlet on 06.01.21
江川 達也
小学館 (1993/07)
売り上げランキング: 135,243
おすすめ度の平均: 3.86

4 危険な漫画
3 罪と罰を呼んでたら、本書を思い出しました。
3 面白のだが、しかし、

名作中の名作。
高校の頃、死ぬほど読んだ。
でも、後半はグダグダ。
ストーリーで言うならば、浪人一面目のころまでが
一番面白いと思う。
この本には、いろんな意味で影響を受けたのだが
ポン女、フェリス、津田塾の違いがわかったのが大きい。
ただ、やはり現代の浮世絵師。
どの作品も、狙いが素晴らしい。
「BE FREE」のデビュー作から
「たるるーと」「東京大学物語」
「GOLDEN BOY」「日露戦争」
どれもはずれがない。
(細かい作品は、逆に言うと、ハズレ)
■11位 細野 不二彦 (ギャラリーフェイク)

ギャラリーフェイク (1)
ギャラリーフェイク (1)

posted with amazlet on 06.02.06
細野 不二彦
小学館 (1992/10)
売り上げランキング: 33,679

とりあえず頭が良い漫画家だと思う。
有名なのは、太郎も有名ですな。
ギャラリーフェイクは、作家の「森博嗣」のVシリーズの主人公に似ている。
ホシナさんだったっけ。度忘れした。
芸術品に関する漫画で、
毎回単発の物語なのに、こんなにもよく続いたなぁ、と思う。
知識が膨大。
こち亀の系統。作家でいうならば、阿刀田さん。
■10位 奥 浩哉(変)

Hen (01)
Hen (01)

posted with amazlet on 06.02.06
奥 浩哉
集英社 (1995/09)
売り上げランキング: 1,534,646

絵が抜群に美味い。
誰か曰く「おっぱい描かせたら神」と言っていた。
ストーリーは、シュルレアリスムだよ。
特にHENの短編集の奴。
ゲイとかレズとか楽しい。
最近のは、よくわからん。
■9位 矢沢あい(天使なんかじゃない)

天使なんかじゃない―完全版 (1)
矢沢 あい
集英社 (2000/10)
売り上げランキング: 8,254
おすすめ度の平均: 4.84

5 女の子の気持ち
5 こんな学園生活に憧れて
5 笑って泣いて

2歳年下の妹がいたので、
「リボン」と「なかよし」は、ずっと読んでいた。
岡田あーみん、の漫画に衝撃を受けた小学生だった。
「100%伝説」よりも「お父さんは心配性」に。
あと、さくらももことのコラボレーションにも感激した。
それはさておき。
で、当然、矢沢あい。
「NANA」が有名だけれども、
「パラダイスさむしんぐ」「ご近所さむしんぐ」そして「天使さむしんぐ」
あと「マリンさむしんぐ」など、実は色々ありますわな。
絵というか構図が、物凄い上手な気がする。
ストーリーも面白いんだけど、絵のセンスが凄い。
■8位 南Q太(さよならみどりちゃん)

さよならみどりちゃん
さよならみどりちゃん

posted with amazlet on 06.01.21
南 Q太
祥伝社 (1997/07)
売り上げランキング: 5,904
おすすめ度の平均: 3

3 切ない日常の恋

意外と知られていない女流漫画家。
岡崎京子よりも、カタルシスは存在するような気がする。
なぜかセックス描写がやたらと多い。
20代の女性が主人公の物語が多い。
この絵のセンスが好きだ
書き込まない美しさ、というか。
■7位 松本 大洋 (ピンポン)

鉄コン筋クリート (1)
鉄コン筋クリート (1)

posted with amazlet on 06.02.06
松本 大洋
小学館 (1994/03)
売り上げランキング: 112,549

鉄コンでもピンポンでもいいけど。
カリスマ漫画家の1人。
絵は物凄い味がある。
それ以上に間の妙味。
あと登場人物が、他の漫画では存在しないような存在感を持っている。
■6位 荒木飛呂彦(ジョジョの奇妙な冒険)

JOJO6251―荒木飛呂彦の世界
荒木 飛呂彦
集英社 (1993/12)
売り上げランキング: 14,077

説明の不要もない漫画家ですが。
絵もさることながら、ストーリーがかっこよい。
(メガテンの金子一馬氏といい勝負)
多くの固定ファンを持つ。
今では、7部かな?
9部まで構想を練っているといわれている。
2部と3部で好みが別れる。
僕はジャンプで読み出したのが2部からで、
好きなのが3部。
DEATH13というスタンドが一番好きです。
夢の中に出てくるスタンド。
小学校のころに読んで、夜眠れずオトンのワキの下に
もぐった覚えがある。
8歳くらいのころか?
■5位 安達哲(お天気お姉さん)

お天気お姉さん 1 (1)
お天気お姉さん 1 (1)

posted with amazlet on 06.02.06
安達 哲
講談社 (2003/05/28)
売り上げランキング: 554,776

子供たちの心臓をえぐった漫画ですね。
THEハレンチ。物凄い卑猥です。
しかし、彼の骨頂はそんなところにありません。
「バカ姉弟」の絵では、物凄い境地を切り開いていますが
(まるで絵本!)、ブレイクのきっかけとなった「さくらの唄」や
「ホワイトアルバム」など、ストーリーの妙味は、
後味のエグさは、漫画とは思えません。
そういえば、岡崎京子と煮ているかも。
■4位 史村 翔, 池上 遼一(サンクチュアリ)

サンクチュアリ (6)
サンクチュアリ (6)

posted with amazlet on 06.02.06
史村 翔 池上 遼一
小学館 (1999/07)
売り上げランキング: 120,652

もう説明不要なほど有名なシリーズ。
男なら読まずに死ぬのは損である。
カリスマ作家たち(北斗の件の原作者でもある)。
日本という国を変えようとする男二人の物語。
ヤクザと政治家。
 僕の周りでも、「この人読んでそう」と思った人は
8割くらいの確率で読んでいる。
沈黙の艦隊 6 (6)とはきっかけは
似ているが、内容はダイブ違うと個人的には思っている。
ODASSAYはイマイチだが、HEARTは名作。
■3位 岡崎京子
岡崎京子に書いたので
パス。
■2位 日本橋ヨヲコ(バシズム)

バシズム 日本橋ヨヲコ短編集
日本橋 ヨヲコ
講談社 (2001/04)
売り上げランキング: 3,120

初めて、彼女を読んだのは、
ビックコミックスピリッツの赤ブタという別冊だった。
1998年ごろだったように思う。
読みきりだが、衝撃を受けた。
同じく読みきりをしていた華倫弁と同じく、
「こいつはヤバイ」と思った。
あの先生に恋する少年の短編だったように思う。
そこに出てくる永沢的な男にほれた。
んと、こういうシーン。
ある女の子が、その永沢さんに告白するわけです。
で、永沢さんはこういうの
「本当ならば、ここで、俺のをしゃぶりやがれ」と。
そして、女の子は泣いて帰る。
主人公は「無茶言うな」と永沢さんに言う。
そして永沢さんは言い返す
「俺は本気が見たいんだよ」
 
 高校のころは、こういう臭い展開に
興奮したのを覚えています。
いやー恥ずかしい、若かったなぁ。
でも名作であることは間違いなし。
G戦場が一番人気だけど
個人的には、やはり、処女シリーズの
プラスチックの方が好きだ。
解体は、突然の打ち切りが辛い。
■1位 高橋ツトム(地雷震)

地雷震 (1)
地雷震 (1)

posted with amazlet on 06.02.06
高橋 ツトム
講談社 (2003/05)
売り上げランキング: 119,596

個人的には、この人の絵は神様のような絵に感じる。
絵に留まらない。魔物がすんでいる。
バカボンドの筆で書いた絵も凄いけど、同じ凄みを感じる。
地雷震は、クールな刑事が主人公の物語。
そのクールさに負けた。
なんか、かっこよすぎるねん。
死という概念を超えている。
他にも、「スカイハイ」も有名ですね。
個人的には、それよりも「鉄腕ガール」が大好きですが。
「爆音列島」よりは、「士道」に期待。