読んだ本:失敗の本質

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
戸部 良一 寺本 義也 鎌田 伸一 杉之尾 孝生 村井 友秀 野中 郁次郎
中央公論社
売り上げランキング: 114

★★★

第二次世界大戦における6つの戦線を元に、タイトルの通り「失敗」の原因を探っていくという本、に限らない。それを元に、日本の組織とはどうあるべきか、という点も合わせて考えることができる書籍となっている。そういう点では、戦争の本にとどまらず、組織論に近い本となっている。

いくつかポイントはあるものの、もっとも大きな問いの1つに「日本的意思決定」が挙げられる。いわば、合議的ゆえに誰が意思決定がしたか不明瞭であり、責任範囲もうやむやなままに物事が決まっていくというものである。今回の戦争でも、そのような重要な意思決定がふわっとした形で決まり、ないし、決定しないゆえに、統一が取れない形で戦争が進んでいくという課題があった。

また、印象深いエピソードとしては、ある戦争において負けた者がいた。上司は、その者のリベンジとして別の戦争で、彼が戦える場を用意した。いわば、感情論の意思決定である。もちろん、これで勝てば良いエピソードとして残るのかもしれないが、それで数百、数千の命が関わることになる。本来的には、そのような1人の感情のために、意思決定は行なれるというようなことはあってはいけない。

このような今の日本の組織に照らし合わせて思い当たるところが少なからずあり、考える一助となる良書でした。

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