水が美味い季節になってきた。それを人は夏と呼んでいるようだが、正式には「水がうまい季節」と呼んだ方がより適切だろう。初夏は、「水がまぁまぁうまい季節」であり、梅雨は「水がうまい季節直前」、秋は「水がそこそこな季節」である。
水がうまい季節がやってきた。
そういう歌がないのが不思議なくらいだ。あまりにも水がうますぎて気づかれるとまずいので、みんな黙っているのかもしれない。僕自身、常々思うのだ。こんな美味いものが、100円そこそこで買えていいものだろうか、と。スイスなんかじゃ水道水で飲めるので無料だ。これは、もはや事件である。いわば、牡蠣が蛇口から出て無料で無限に食えるようなもので、そんなことが起こると世界のバランスが崩れてしまう。あるいは、南アルプスの土地が高沸する。
ゆえに人は、こんなに美味しいものを黙っているのかもしれない。
あるいは、この水の美味さをあまりにも人は発言しないので、もはや、僕だけが「水を最高に美味しく飲める味覚」を持っているんじゃないかと思うほどだ。こんな美味しいものがカロリー0なんて嘘だ。コーラゼロがなんかあれ、と言われているのと同様に、水のカロリー0も嘘だろう。たいてい美味しいものにはカロリーがある。油だって、肉だって、砂糖だって。それを考えると水もカロリーがないと割に合わない。世界のバランスが崩れる。あるいは、水ダイエットにより世界中のダイエット産業が崩壊する。ゆえに、人はこの美味しさを黙っているのかもしれない。
は!もしかして、人は水をちゃんと飲んだことがないのではなかろうか。水を飲む作法を間違っているのではないだろうか。ゆえに人はこの水の美味さを知らないのではないだろうか。走ってきた後の水の美味しさは格別で三大欲求を超越するほどだ。無限に飲める、睡眠を削ってまで飲める。死んだら水になろうか、と思うほどの美味さだ。水と付き合ってもいいかもしれない(要件次第だが)。
もう水です。今後の新規事業は全て水にすべきだ。水をパッケージにして売ったらいいんじゃないだろうか。水をぐびぐび飲める機械を。あるいは、水になとかなんとか水とか適当なことを行ってうれば、思わず水の美味しさにみな気づいて、革命が起きるんじゃないだろうか。藤原紀香さんとかに売ってもらうのだ。「多摩市の水道水はめっちゃうまい」とか言って。
水のうまさを知ると国民の幸せ度があがりまくって、ブータンを超えるだろう。あるいは、他の飲み物が売れなくなって飲料業界は崩壊するだろう。もしかすると、クリントンが大統領になったらUFOの秘密と一緒に水の秘密も暴露すると良いかもしれんね。コカ・コーラの原材料は世界で3人しか知らないと言われるというけど、水の美味しさもそれくらいの秘密にしておかないと世界のバランスが壊れるかもしれんね。