>老舗企業は常に深化に専念し、すでに知っていることの活用にかけては腕を上げていく。それで短期的に優勢になるが、徐々に力を失い、つぶれてしまう」と、マーチは結論づけた
イノベーションのジレンマ
>クリステンセンは著書で「組織は破壊的変化に直面すると、探索と深化は同時にできないので、探索にあたるサブユニットをスピンアウトしなくてはならない」と主張している★21。
新規事業はスピンアウトすべし
>アマゾンのリーダーシップには、探索と深化を同時に行うときに生じる特有の「葛藤を許容する能力」と、破壊的変化を追求し続ける勇気がある。ベゾス自身の取り組む姿勢がそれを体現している。たとえば、そのせいでアマゾン本体の商品の売上を損なうことになったとしても、ウェブサイト上に競合品を掲載するように強く求めた。また、アマゾン自身のシューズ販売サイト(エンドレス・コム)と直接競合するとしても、ザッポスの買収に踏み切ったのもそうだ。
アマゾンがなぜ、イノベーションをおこせたか。それは、トップからのカルチャーとトップダウンの覚悟
>ベゾスは語る。「ゆっくりと安定的に進んでいけば、時間とともに、どのような挑戦にも食い込んでいける。(中略)私がすべてのアイディアを持っているわけではない。それが私の役割ではない。私の役割は、イノベーションの文化を構築することだ」と★26。
>ベゾスの見解によると、アマゾンの共通の文化規範は、あくなき顧客重視、実験への積極性、倹約、政治的な行動をしない、長期展望などである。これらは、完全に異なるユニットにまたがって、社内の人々を一つに結束させるのに役立っているのだ。
イノベーションは社長だけが起こすものではない
>「当社の素晴らしい物流を基盤に動いている限り、ウォルマートの名前かどうかは重要ではない」と、ウォルマートの元新業態
こだわるべきところとそうでないところ
>①既存技術で新しい市場にさらに適用できることはないか(領域D)、②新しい技術で既存市場に適用できることはないか(領域C)、③新しい技術で新しい市場に適用できることはないか(領域B)
新規事業の4つの領域
>IBMに欠けていたのは、脅威や機会を見抜く力ではなく、それに対処するために、資産の再配分や組織再編を行う組織能力であったというのだ。
>両利きの経営で要求されるのは、リーダーがこうした違いを育んでいくことだ。文化が重荷になりうるのは、非常に限られた規範に頑なに執着しているときに限られる。
リーダーが変わる覚悟が必要
>し今は、その病根について読者の理解が深まっていれば幸いである。最も成功している企業がイノベーションストリームを構築し、両利きの行動をとっていることはもう明らかなはずだ。深化ユニットでは重視されるのは漸進型イノベーションと絶え間ない改善だが、探索ユニットでは実験と行動を通じた学習である。探索ユニットはスピンアウトせずに、深化ユニットの中核となる資産と組織能力を探索ユニット内で活用する。内部的に矛盾をはらんだ探索ユニットと深化ユニットを共存させるには、包括的で感情に訴える抱負、基本的価値観、幹部チームの強い結束力が必要になる。
伸びる企業は、探索と深化を共存させている。