「NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方 」を読んだ

 

自然の価値を科学的に分析した本。めちゃめちゃ面白かった
平均すると、被験者は都会にいるときより、屋外の緑豊かな場所や自然のなかに身を置いているときのほうが有意に、かつ確実により深い幸福感を覚えている」
同僚、 李宙営 は、森のなかをゆっくりと散策すると、都会を歩いているときと比べて、従来ストレスホルモンと呼ばれていたコルチゾール値が一六%も下がることを発見し
自然の風景を見た被験者の脳は五分後には通常の状態にまで回復したが、人工的な風景を見た被験者の脳は一〇分以上経過したあとも、ある程度しか回復しなかったのである[
この答えを求め、二〇〇八年、李は東京在住の中年のビジネスマンの一団を森に連れていき、三日間、二~四時間ほど森のなかをハイキングしてもらった。三日後に血液検査を実施したところ、ビジネスマンたちのNK細胞が四〇%も増大していることがわかった。さらにその後も七日間、NK細胞が増えた状態は持続し
ヒノキの香りが漂う部屋で睡眠をとった被験者は、三日後にNK細胞が二〇%増大した。そうした被験者は疲労感が軽くなったと報告した。いっぽう、香りのない部屋ですごした被験者にはなんら変化は見られなかっ
ほんの数日間自然のなかですごしただけで、五〇%も創造性が向上したのである[
本書でも、夫妻の研究の成果を何度か紹介させていただいている。そんなレイチェルに、脳を休ませるにはどうすればいいのでしょうと尋ねると「うっとりとした穏やかな状態でいること」という返事が返ってき
とはいえ、この複合施設にはもっと複雑でもっと興味深い話が隠れている。自然のなにが人間の心と調和するのかという問題に関していえば、あまり注目されていない五感のひとつである嗅覚が強力な要素であることがわかっている。脚光を浴びているのはもっぱら視覚だが、マルセル・プルーストにはわかっていたように、脳内の情動をつかさどるニューロンにもっとも強い反応を起こすのは嗅覚
た。彼の話によれば、日の出の時刻から少なくとも一五分間、人間がつくりだす騒音がまったく聞こえない場所は、アメリカの大陸部では一〇か所程度しかないそうだ。つまり夜明けにたった一五分間でも静寂が続く場所はほとんどないというわけ
激しい痛みの発作に何度も襲われた。自宅での長期にわたる療養中、窓の外の一本の松の木を眺めていると、言葉にはできないほど大きな慰めを得られたと
なかですごしたあとの気分の変化とストレスの軽減について尋ねた。すると一か月に五時間、自然のなかですごすと、最大の効果を得られるという結果が出た。トゥルヴァイネンはその効果についてもっと深く分析するため、新たな実験を実施した。八二人のオフィスワーカー(大半が女性)に、三つの異なる場所 ── 都心、整備された公園、森林公園 ── ですごしてもらったのだ。どの場所の被験者にも、三〇分間のんびりと散歩をしてもらい、その前後に一五分間、じっと座ってもらった。そして質問紙に答えを記入してもらい、唾液を採取し、血圧と心拍数を測定した。被験者には、そのあいだお互いに会話をしないようにと指示した(人と交流すると心理的にいい影響が及ぶためだ)。つまり、実験後、被験者が幸福感を覚えたとしても、それは友人ができたからではないことになる。  すると、科学者なら「ビューティフル」と称賛するであろう結果が出た。有意な効果が見られ、予想どおり正比例の関係が見られた。ワゴン車のなかで座っているときと比較して、都心ではストレスから「回復」したという感覚はほとんど抱けず、いっぽう、整備された公園や森林公園のなかではそう感じた。変化は比較的早い段階、すなわち戸外で一五分間座っただけであらわれた。その後、短い距離を散歩すると、「回復」したという感覚がさらに強まり、その状態が持続した。緑がある場所ですごす時間が長くなるほど、気持ちが上向いたという報告が増え、その効果はより自然豊かな森ですごした人のほうが高かっ
 都会で暮らす人たちにとって、これは朗報だ。町中の公園で一五分から四五分間すごせば、気持ちが前向きになり、活力が湧いて、ストレスを軽減できる。公園の歩道が舗装されていようと、大勢の人がいようと、ときどき道路の騒音が
クレイマーはスタンフォード大学が最近発表した論文に大いに関心をもっている[ 12]。室内のウォーキングマシンで歩いても、戸外を実際に歩いても、拡散思考による創造性が高まるというの
ないと話した。「そういう体験によって、態度、気分、行動、さらには脳にも長いあいだ持続するポジティブな変化が生じるんだよ[ 5]」宇宙飛行士も宇宙から地球を眺めたときの「オーバービュー効果」〔神のような超越者の視点から、地球の全体を一望のもとにおさめることによる意識の変容〕 により、同様の感銘を抱く。また臨死体験をした人や、一般的な登山者、サーファー、日食や月食を見た人、イルカと一緒に泳いだ人なども、畏敬の念に打たれ、人生が一変するような衝撃を
 その後も何度か激流に遭遇した。わたしは興奮してやたらと明るくなったり、不安でぴりぴりしたり、身体が冷えて寒くなったり、負けてたまるかと意を決したりと、激しい気分の波にも翻弄された。激流に入ると視野が狭くなり、集中力が上がる。心拍数が増え、息が上がり、皮膚の温度も上昇する。胃が縮むのもわかる。このぐらいのちょっとした冒険でアドレナリンがほどよく放出されるのは、じつに楽しいものだ。いまこの瞬間を生きていると実感できる。些細なことなどどうでもよくなり、激流を無事に通り抜けてほっとすると、エンドルフィンが一気に放出される。カヤック愛好家のなかにはカヤックでの激流下りを「コンバット・ボーティング」(ボートの

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