クリエイティブ・クラスの世紀を一気に読んでみた

微妙に話題になっている一冊。

賛否両論あろうが、まぁ、見方の1つと捉えれば有益なのではないだろうか。データの計測方法に疑問は残るとはいえ、あくまでも概念の1つとしては。ただ、クリエイティブクラス、という造語(?)が適しているかは疑問が残る。日本でいう「クリエイティブ」とは少し概念が違うので。思わずネグリの「帝国」論を彷彿させる。ミスリーディングの恐れ。

ここで言うクリエイティブは、ホワイトカラーの一部のクラスターを指す。具体的に定義はイマイチされていない。しかも日本のクリエイティブクラスの例がトヨタだけという無謀試み。これも「帝国」論を彷彿させる。定義が曖昧。いや曖昧じゃないのかもしれないけど、なんか説明しにくい。

とはいえ、一般的なクリエイティブ、つまり「芸大系」とでも言えばいいだろうか。「右脳系」とでも言えばいいだろか、というトレンドも日本では起こっていて、それとシンクロする。ただし、ここでのクリエイティブはこのクリエイティブとは異なる。まぁ、しかし、延長上線には重なる部分もあるのかも。

まぁ、ともあれいつもどおり引用でも。ほぼ自分メモですがご容赦。

アメリカのトップ500社のうち少なくとも50社のCEOはアメリカ以外で生まれている。

ほぅ、というデータ。でもアメリカの人口でアメリカ以外で生まれた人が1割以上いたら笑う。これぞ統計のトリック。まぁ、違うけど。

90年代にシリコンバレーで起業された会社のうち移民が企業したものは30パーセントに達し・・・

ふむ。

「グローバルな才能の磁石」=ロンドン、アムス、トロント、バンクーバー、シドニー、メルボルン

カナダ頑張ってるね。

「グローバル・オースチン」=バンガロール、テルアビブ、シンガポール、台北、北京、上海

テルアビブか。確か行った。嘘かな、結局いかんかったんだっけなぁ。@イスラエル

今後増える職業
・専門的思考
 クリエイティビティや専門的な問題解決力が必要な職業。新しい製品のデザイン、疾病診断、創作料理。

・複雑なコミュニケーション
 デザインやイノベーションといった分野、F2Fで相手にモチベーションを与え管理するといった分野の所得の高い職業。

凄いざっくりしすぎて、あんまりピンとこない。これをもうちょっと分解してくれると面白いデータになりそうなんだけど、多分、作者も思いつきで書いているんだろうなぁ、と邪推。

私たちは潜在的なクリエイティブ資本をせいぜい10%程度しか引き出せていないと見積もっている。

この憶測が入っているのが謎。

移民は概してアメリカ生まれの市民を補完するスキルを持っており「たとえ同じ教育レベルでも問題の解決方法や発想、適応の仕方がアメリカ人と移民労働者では違うので、互恵的な学習が起こりやすい」

ふむ。移民大事。

立地優位性 ロジャーマーチン
 企業が立地による強みを認識し、その強みを発揮する時の方法論に焦点を当てた。

これって社会学、都市学とかで前から言われてなかったっけ?

クリエイティブな人はお金持になりたいがために一生懸命になるのではなく単純にそう理解するのははっきり言って正しくない。クリエイティブな人々をその気にさせるには金銭よりも内発的な報酬のほうがはるかに大事である。これはこの分野における大多数の研究によっても支持されている。

これも前回書いた「すべきだからするのではなく、やりたいからやっているんだ論」に似ている。

90年代半ばまでに科学論文の世界一の生産地域はアメリカを越えてEUが担うようになった。西欧の研究者は22万9000件の論文を書き、アメリカは20万1000件、日本は5万7400件、日本以外のアジア全体で4万2700件であった。

うーむ、どう見るべきか。

グローバルクリエイティビティインデックスによると日本は2位。1位がスウェーデン、3位がフィンランド、4位がアメリカ、5位がスイス。

北欧凄い。日本は一部データがなかったはず。本書参考。

個人的メモ。P.204 ブランド国家論の参照

で、これに続いて、同じく「クリエイティブクラス」の特集を組んでいたハーバードビジネスレビューを読んでみた。ざっと知りたいだけなら、この雑誌で良いのかもしれない。

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2007年 05月号 [雑誌]

国連の人間開発指数を見ると日本、アメリカ、スウェーデン、ノルウェー、オーストラリア、カナダなどが上位に並んでいます。177カ国の中で中国とインドは81位と126位です。それだけ問題や貧困を抱えているということです。彼らが本質的に競争相手になるにはまだまだ時間がかかります。

これはブランド国家論用のデータ。今日、1年ぶりくらいに「国を作る」夢の理論的裏づけ(そこまで大したものじゃないけど)を話して、色々思い出した。やっぱり、こういう空中戦も好きだなぁ。

Q.日本で自己表現の高まりは見られるでしょうか?

若者の文化やゲーム産業の隆盛を見る限り、かなり自己表現が行われているように思います。

ちょとちょっと、もうちょっと真面目に分析してよ!ここからは「ゲーム産業を見てそう思ったよ」としか読み取れないよ!少なくとも、若者の文化に突っ込めよ記者!モバイルやブログ文化かなぁ。

藤本隆宏氏が指摘しているように、日本はモジュール生産のような分業型事業よりも、「すり合わせ(インテグラル)型」の事業に強く、これが国際競争力の基盤になっていること。

ほう?これの概略はたしかはしょられていた気がする。あ、これって、単に加工貿易のこと?違うよね。マッシュアップ型事業ってことかな。ちょと気になる。

日本版LLPの特徴は3つある。「有限責任」「内部自治原則」「構成員課税」

最近、LLPが微妙に気になるお年頃。

このようなeランスエコノミーはとっぴな仮説どころかすでにさまざまな形で現実化しており「リナックス」の開発はけっして特殊な例ではなく、インターネット事態の発展と共に一般化していくだろう。バーチャルカンパニーの登場、アウトソーシングや在宅勤務の増加、フリーランスや臨時労働者の急増も顕著であり、また大組織の内部における臨時プロジェクトチームの重要性の高まり、社内起業家の増加、事業ユニットの独立なども1つの現われなどと言えるだろう。

データが欲しいところ。まぁ肌感覚ではわかるけど。

このような集団はコーホートと呼ばれる。顧客のエイジングに合わせてブランドを変えながら絶えずコーホートのニーズに合致させていく。我々はこのアプローチを読者と一緒に成長していく魔法使いの少年になぞらえて「ハリーポッター型マーケティング」となずけた。

だそうです。

結論としては、話のネタにはいいかもね。でも、この論文だけで、政府が動くには、まだデータが良い気がする。ゲイが多いのと都市の発展性ねえ・・・。カナリアインデックスみたい・・・(鉱山のカナリア数で云々ってやつ)。

ほな

クリエイティブ・クラスの世紀を一気に読んでみた」への3件のフィードバック

  1. ザッピング運営事務局

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