先日、ラッキーがあり、桑田佳祐氏のこじんまりとしたライブに訪問した。場所はZepp(お台場)なので2000人強の箱だろうか。
仕事の都合で遅れて参加した。そのため、後ろの扉から入った。同じく遅れてきた人もいたようで、後ろの扉を明けると満員だった。しかし、なんとか身体を滑り込まさせてもらって、入れてもらった。満員電車(JRの9時頃。ピークまではいかないが混んでる)ぐらいの混み具合をイメージしてもらえばいい。身体が触れ合っているレベル。
私の左手にはカバン。右手にはプラスチックのコップに入ったビール(入口でドリンクチケットと引き換えにもらった)。そのため両手がふさがり、合いの手も拍手も何もできない状態で30分が過ぎていた。
すると左にいたおばさま(推定50歳。田嶋陽子的な面影をお持ちのお方)がカバンをガサゴソとしだす。するとビニール袋を出していた。僕は「お腹がすいたのかな?パンでも食べるのかな」と思っていたら(なんせ身体がくっついている状態の真横なので)、その貴婦人は、私に「そのプラスチックコップをここに入れなさい」と、僕がもってた空のコップを、そのビニールに入れてくれた。
僕は感激して「ありがとうございます。ゴミですので僕が持ちます」と言ったが、ゴージャス貴婦人様は、私のコップをとって、カバンにおさめてくれた。
ゆえに、私は右手があいた。そして、半分の手で拍手をすることもできた。コンサートをより楽しむこともできた。
その方のことを神々しくみえた。生き仏ではないかとも思った。
僕は逆の立場でそういうことができたか?と考える。わからない。やった、とは言い切れない。気恥ずかしくて、できないかもしれない。
それ以来、僕は、あのおばさまのような動きをしたいと思って生きている。僕にとっては、彼女がヒーローである。とりあえず、駅の階段で、ベビーカーを下ろすのを手伝える人でありたい。