脳科学は人格を変えられるか?を読んだ★★

脳科学は人格を変えられるか? (文春文庫), エレーヌ・フォックス、森内薫を読んだ

>楽観的な人の心は、ポジティブなものに強く引かれると同時に、ネガティブなものを巧みに遠ざけている。悲観や不安を抱きがちな人と楽観的な人とでは、認識のスタイルが根本的に異なっているのだ

幸せは注意の向き先によって変わるという話と同じ。

>楽観と悲観はどちらも、「人がどんな遺伝子をもっているか」「どんな出来事を経験するか」「世界をどのように見、解釈するか」の複雑なからみあいから生じる
>オーストラリアのメルボルン大学のブルース・ヘディとアレクサンダー・ウェアリングは一九八九年に発表した研究の中で、「人がどんな経験をするかは気質に影響される」ということを示唆した

悲劇は、精確によるもの。

>楽観主義(オプティミズム)という言葉本来の意味は、この善きものを信じる思いにずっと近い(6)。わたしたちが今日「楽観主義」といって思い浮かべる「バラ色のメガネをかける」とか「明るい面ばかりを見る」などのイメージは、もとの意味からはかなり遠ざかっているのだ。  ラテン語で「可能なかぎりの最善」を意味する「オプティマム」に由来する「オプティミズム」は、ドイツ人の哲学者にして数学者のゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(一六四六~一七一六)が考えた概念だ。ライプニッツによれば、神は可能なかぎり最善の世界を創造した、だから、それをさらに改善することはできない。つまり、オプティミズム本来の意味においては、「ものごとの明るい面」だの「グラスに水が半分 も ある」だのの概念は無縁なのだ。  本来のオプティミズムとはだからむしろ、世界を善悪こみであるがまま受け入れ、なおかつ、そこに潜むネガティブなものに屈しないことだ。

「世界を善悪こみであるがまま受け入れ、なおかつ、そこに潜むネガティブなものに屈しないことだ。」という幸せのスタンスはマッチョ。

>デーヴィッドソンと同僚のジュリー・ブレフツィンスキ=ルイスの研究によれば、注意集中法で瞑想を実践している人は、集中したり、気が散るのを防いだりする脳の回路がたしかに強くなっていた( 14)。二人は、平均一万九〇〇〇時間の瞑想を実践したエキスパートらに実験に参加してもらい、瞑想の初心者と比較した。予想通り、邪念を遠ざけるのを助ける前頭前野の回路は、瞑想のエキスパートのほうがずっと強く、彼らは瞬時に集中モードにスイッチを入れることができた。興味深いことに、瞑想の実践をもっとはるかに多く、平均で四万四〇〇〇時間も積んだ超エキスパートの場合、回路がそれほど活性化されなくても邪念をはねかえす力や集中する力は他の修行僧よりはるかに強いことが判明した。

瞑想でポジティブに

>これが、〈マインドフルネス認知行動療法〉として知られるようになる手法だ。シュウォーツが人々に訓練したのは、ストーブを消したかどうかチェックしたいという衝動と闘うことではない。そうした症状を、〈憂慮すべき何か〉として認識するのをやめ、脳内回路の失調のあらわれとしてとらえ直すことを彼は患者に教えたのだ。  シュウォーツはこの分野の先駆け的な研究の中で、被験者に一〇週間のマインドフルネス認知行動療法を施し、療法の開始前と終了後の二回、脳スキャンを行った( 16)。その結果、療法を受けた後では眼窩前頭皮質の活動があきらかに低下していたことがわかった。療法によって、強迫行為への衝動が弱まったのに加え、脳のエラー探知システムが活動過多でなくなったおかげで、被験者はなんとかふつうに生活を送っていけるようになった。これはすばらしい進歩だった。標準的な認知行動療法は強迫性障害にはほとんど効果をもたないものだが、マインドフルネス瞑想法を組み合わせたことで、大きな成果が得られたのだ。

認知療法行動が、強迫観念に意味がある

>標準的な八週間のプログラム終了後に測定を行うと、マインドフルネス法の瞑想を実践した被験者には、脳の活動にも免疫機能にもプラスの変化が認められた。脳の活動の左右の偏りについては、頭につけられたすべての電極にではないが、すくなくともいくつかの電極に、右から左への活動の移行が見てとれた。ハッピーで楽観的な人に典型的に見られる脳活動のパターンは、瞑想によってたしかに強められていた。また、マインドフルネス法の瞑想を実践した人の体内では、実践しなかった人に比べてインフルエンザの抗体が非常に多くつくられていたこともわかった

インフルエンザの抗体まで!

>いいかえれば、脳の緊急領域が警報ベルを鳴らしっぱなしになっていたわけだ。こうして神経科学的に確認されたのは、その昔ブッダが説いたのとまったく同じことだった。自分の感情にラベルを貼り、単に注意の向かう〈対象〉として扱えば、ネガティブな経験をもある種超然とした立場から眺められるようになるのだ

ラベリングが重要とは聞く。

>だから、状況を自分でコントロールできること──あるいはコントロールできると感じること──は、幸福度を左右する重要な要素なのだ。困難な状況におちいっても、状況をわずかでも自分で制御できると信じれば、対処しようという気持ちはおこりやすい。猛スピードで走る自転車の後ろの荷台や、横滑りしている車の助手席に座っているときの恐怖を思い浮かべてほしい。もし自分が運転をしていれば、恐怖心はいくらかなりとも緩和されるはずだ。それは自分が状況を制御しているという感覚が、自信を与えてくれるからだ。ラットを使った実験からも、自分で制御がきかない状況は、胃潰瘍などストレスになりやすい

コントロールできると感じること。
会社の理不尽なストレスで、体調崩すのは逆にコントロールできないから?

>もうひとつ重要な発見が、科学的な研究からもたらされている( 31)。それは、人がほんとうの意味で幸福になれるのは次に述べる三つの要素があわさったときだけだということだ。ひとつ目は、ポジティブな感情や笑いを数多く経験すること。ふたつ目は、生きるのに積極的にとりくむこと。そして三つ目は、今日明日ではなくもっと長期的な視野で人生に意義を見出すこと

ふーむ


・カップルでポジティブ比は1:5。ポジティブ5でネガティブ1。そのエピソードの割合が重要。

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