35歳(男)の週末

35歳未婚男性の何も事件が起こらない平和な休日を記します。

参考:30代独身男性がどのように3連休を過ごしているか? | いけいけどんどん

■土曜日

起きる。実家からもらったお中元アイスを食す。美味。この週末は体調が芳しくないので、家に篭ろうという強い意思の週末。まずは、習慣のランニング。足を怪我しているのでゆっくりと走る。もう夏なので、帽子がないと厳しい。走ってきた後の水は最高。筋トレしながら、最近、録画始めたテレ朝の「あなたは今幸せですか? |」を見る。ふむ。3人をバラバラにするよりも、1人をもっと深掘りして欲しいな、と思いました。筋トレは腹筋を多めに、腹を絞るというのは、男性が人生で成し遂げたい100のことであり、せっかくなのでこの夏にむけて頑張る。腹筋ローラーが良いね。体重管理は、自動で体重をネットで管理してくれるWithings」。Amazonの半額キャンペーン時に購入。この1年ほど体脂肪が増えないが減りもしない。

お腹が空くが、足が痛いので食事に行く気にならず、RSSフィードチェック。16時くらい、そろそろ食事に行くか、と思い、中目黒のビーフキッチンへ自転車で。週末は昼から空いているようで、17時頃でも入れた。ただしお客さんは他におらず。最近、ホルモンにはまっているのでホルモンの6種盛りにセンマイ、ハラミを頂く。さすが肉の聖地「中目黒」で人気の店だけあって店員も雰囲気も気持ち良いお店。ホルモンもいろんな種類があり、勉強中。てっちゃんとこてっちゃんは違うものなのか。

その後、帰宅。数時間ほどかけて、アドテク、DMP系のニュース記事をまとめ読み。面白い記事がいくつかあり、興奮。「米アマゾン、ついに食品のPBを立ち上げ 狙いは高い利益率と配送コストの削減 」という記事とデータの関係に関して思いを馳せる。

合間に読書。ちびちび読んでいたドン・ウィンズロウの「カリフォルニアの炎 (角川文庫)」を読了。カリフォルニアの保険会社でのミステリー。相変わらずドン・ウィンズロウは面白く、そしてブレイブな物語で満足。ノンフィクションとしては、「ジョコビッチの生まれ変わる食事」を読了。数ヶ月前に、知り合いの医者から「マンガで分かる肉体改造 糖質制限編 」され糖質カットにハマったので、その分野で有名な1つジョコビッチ先生の本も読む(こっちはグルテンの話だが)。それまで、糖質カットは、あまり信用していなかった。身体の声を信用する者としては「身体が欲しい」という欲求に従うのが正しいあり方であり、それにしたがっていた。しかし、この本を読んで、趣旨は理解した。また、知り合いのスポーツ選手も糖質カットをしているということもあり、こうも科学を重視する方々が示唆するということは何かしら意味があるのだろうと着手を始めている。かれこれ一ヶ月くらいだが、確かに、体調は良いかもしれない。血糖値を一気にあがることはなくなったので「お腹すいた!!」という感覚はなくなったという印象。ただ体重はそんなに落ちていない。あまり食べる量はコントロールしていないからだろうか。ジョコビッチの本はレビューにある通り、内容は薄いが、まぁ、趣旨は理解。

漫画も読む。けんすうさんか誰か会社の人が紹介していた「マージナル・オペレーション」を読む。戦シュミレーションものは、エキサイティングですね。キングダムしかり。あとは、これも誰かがおすすめしていた「限界集落(ギリギリ)温泉第一巻」。鈴木みそ先生はファミ通世代の私としては懐かしくうれしい。他に、辻さんがツイッターで紹介していた「岳(1)」も読む。これは習い事先の人も紹介していた登山の話。まだ私は登山の魅力には気づいていないけれど、いつかその魅力を知るのだろう、という気がする。周りでもする人が増えてきた。ピクニックレベルの登山は好きなのだけれど。

最近は読書はKindleのWhitepaperから、Kindle Fireに移管。このFireはプレミア会員だと4000円くらいで購入できるという金額感。ホワイトペーパーはEインクゆえに目は優しいものの、ページめくりに時間がかかっていた。そういう点で、Kindleはサクサク読めて非常に好ましい。あと、最近は、Micro sdにKindleの本をダウンロードできるようになったので、今までのように「Kindleの容量が一杯だ!」と悩まなくて済む。最高の読書環境ができました。

読書は、ハンモック上でゆらゆら。先日、ソファーでうたた寝してしまい首を痛めてから「これはいかん」とハンモックを購入。1年ごしで悩んでいた一品。こちらの2wayハンモックは、椅子にもなる優れもの。考え事をする時にとっても便利です。

そして寝る。

■日曜日

糖質カットマンとしては、昼も肉をくおうと中目黒の「Meat&Bakery TAVERN (タバーン)」を訪問。ブルックリンをイメージしたというだけあって「ダイナー」という印象で雰囲気が良い。ベーカリーとバーも併設という変わった構成。場所はアトラスタワーの裏側なので、目黒川沿いといえども落ち着いた雰囲気。テラスもあって気持ち良い。客層も母と娘、カップル、女性だけと多様。

その後、肩こりがひどくてマッサージへ。中目黒駅前のほぐしの達人。1時間3000円。素敵なお値段。爆睡。なお、自分の中でマッサージランクがあり、疲れた時はほぐしの達人か渋谷のグイット。死にそうな時は三宿の「アジアンブリーズ」。もっとも好きなマッサージ屋の1つ。バリ感がすごい。

その後、スーパーで買い物を買い物をして帰宅。家では作業をしていると時間が過ぎて夜に。夜は自炊。糖質カットを始めてから自炊を始めた。なぜなら外食で、糖質カットは難しすぎるからだ。最近は麻婆豆腐にはまっている。しかし、会社の飲み会で「生姜切るところからしてまんねん」といったら男性陣から「当たり前やん」と激しいツッコミをくらい、周りの料理レベルを知る。生姜を炒めて、鶏のひき肉。野菜も食べたいので茄子も入れる。そして、オイスターソース、醤油、甜麺醤、豆板醤、酒、味噌、ガラスープの元で作ったソースを投入。そして豆腐。長ネギ。水溶き片栗粉に山椒とラー油で完成。最近は毎日これを食べているので、どれだけ早く作れるかに関心があり、現在は13分ほど。火加減がまだまだ慣れない。料理は大学時代に少ししていたので15年ぶり。ただ、色々、「感触」は覚えているものだな、と関心する。その頃から愛用する木べらで麻婆豆腐を痛める也。

なお、今朝の朝食は糖質オフベーグルにクリームチーズとブルーベリーだった。料理を始めてからやはり食器も気になるもので、ベーグルは、柳宗理の出西窯シリーズの丸皿を愛用。ただ、まだまだ陶器に関しては知識がないので、おすすめの食器ブランドあれば、教えてください。

英国離脱のインパクトをさらさら調べる(保有株にインパクトあるので)。この辺はいろんなスタンスによって見解が違うので、まずは多くの情報を得て、自分なりの重み付けをするのが良さそうではないか。特に時間の尺度が人によって違いそう。半年と3年でのインパクトは異なるので。

作業中は、久しぶりにGoose houseを聴く。「年下の男の子/キャンディーズ」が楽しそう感溢れてて良い。竹渕慶氏の珍しい演奏が見られる(Love foreverぶり?)。あとは先日、町中で聞いて気に入ったWE ARE NEVER EVER GETTING BACK TOGETHER のクラブミックスである「WE ARE NEVER EVER GETTING BACK TOGETHER CLUB MIX 」を聴く。夏ぽい。さて夏がきますねー。

※一部、加工しています
※それなりに仕事をしていましたが、あれなので端折りました。

「Bark」という吠えるだけのアプリが楽しい

「Bark」というアプリがかさなり刺さったので共有します(iOSのみ)

なお、このアプリは、service safariで知りました!

«Bark – Don’t speak, Let’s bark!

どんなアプリ?

犬になってわんわん吠えるアプリです。

何が楽しいの?

吠えるのが、なんだか楽しいです

いわば、「YO!の匿名版」という印象です

何ができるの?

上記の説明だと1ミリもわからないと思うので、以下にスクショで説明します。

IMG_0432

↑こちらがホーム画面。犬のアイコンが自分です

IMG_0429

↑アイコンをクリックすると吠えます。すると、近い距離にいる犬(人)に、その通知がいきます。上記だと10の犬に通知が飛びました。距離もでます。

ベースはこの作業だけです

なお、相手も吠えると、吠えたグラフィックが表示されてお互い吠えあってる感じが見えて楽しいです

IMG_0428

↑吠えた犬が自分の地図上にもでます。吠え合うこともできます

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↑その地域で吠えた回数が多い人がランキングで出ます。絶妙な微妙なゲーミフィケーションです

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↑また、その地域(距離かな)でやりとりされているオープンチャットが公開されています

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↑オープンチャットに投稿するにはアイコンを長押しです。なお、投稿するとエネルギーがけっこう減ります

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↑吠え続けるにはエネルギーが必要で、1分に1%回復します

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↑自分が見つけた犬の匹数がでます。目指せ1.3億

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↑自分が吠えられた回数も見えます。

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↑自分を吠えてくれた人が一覧できます。なお、自分の写真を1枚だけ投稿できます。

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↑自分がいった縄張りが地図のアイコンの横に表示されています

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↑他の犬と何回すれちがって、何回吠えられたかもでます。上記だと29回吠えられて、なわばりは1つ共有しています。

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↑このように、ノーティフィケーションが死ぬほど来ます。そして、それがくると吠え返します。めくるめく吠え続けるメリーゴーランドのようです。

最初は通知はオフにしていたのですが、オンにした方が楽しいです。

ここがいけてる

基本は人と出会えない

いまはツイッターでもInstaでも男女の出会いがまっさかりです。夏ですし。でも、もうそういうのはいいです。そういうのはPairs使えばいいです。

Barkは基本的には、これは出会えない構造になっています。DMがないです。逆に複数人で会ってる人たちはいるようです(知り合いなのかもですが)

名前がない

ユーザネームには飽きました。いまは番号の時代です。Barkは名前も入れれず、連番の数字しかありません。もはや、囚人のようです。このシンプルさがいいです

補足情報

運営は、DongHyeok Kimさん。以下のTech in Aisaの記事によると、Kimさんは、Notivoという会社のファウンダーで、共同創業者には、Sungsoo Moonさんという方もいるようです。

2014年のAngelHack というイベントで賞をとったアプリだとか。なお、そのイベントの評価者には、YOのファウンダーもいたそうです。

«Instead of Yo-ing, you can now Bark at your friends

現在のユーザは833人。いままで142万回、吠えられています。

終わり

多分3日で飽きそうですが、とはいえ、3日は楽しい気がします。

是非、吠えてください。利用は以下からどうぞ。

«Bark – Don’t speak, Let’s bark!

水にカロリーがないなんておかしい

水が美味い季節になってきた。それを人は夏と呼んでいるようだが、正式には「水がうまい季節」と呼んだ方がより適切だろう。初夏は、「水がまぁまぁうまい季節」であり、梅雨は「水がうまい季節直前」、秋は「水がそこそこな季節」である。

水がうまい季節がやってきた。

そういう歌がないのが不思議なくらいだ。あまりにも水がうますぎて気づかれるとまずいので、みんな黙っているのかもしれない。僕自身、常々思うのだ。こんな美味いものが、100円そこそこで買えていいものだろうか、と。スイスなんかじゃ水道水で飲めるので無料だ。これは、もはや事件である。いわば、牡蠣が蛇口から出て無料で無限に食えるようなもので、そんなことが起こると世界のバランスが崩れてしまう。あるいは、南アルプスの土地が高沸する。

ゆえに人は、こんなに美味しいものを黙っているのかもしれない。

あるいは、この水の美味さをあまりにも人は発言しないので、もはや、僕だけが「水を最高に美味しく飲める味覚」を持っているんじゃないかと思うほどだ。こんな美味しいものがカロリー0なんて嘘だ。コーラゼロがなんかあれ、と言われているのと同様に、水のカロリー0も嘘だろう。たいてい美味しいものにはカロリーがある。油だって、肉だって、砂糖だって。それを考えると水もカロリーがないと割に合わない。世界のバランスが崩れる。あるいは、水ダイエットにより世界中のダイエット産業が崩壊する。ゆえに、人はこの美味しさを黙っているのかもしれない。

は!もしかして、人は水をちゃんと飲んだことがないのではなかろうか。水を飲む作法を間違っているのではないだろうか。ゆえに人はこの水の美味さを知らないのではないだろうか。走ってきた後の水の美味しさは格別で三大欲求を超越するほどだ。無限に飲める、睡眠を削ってまで飲める。死んだら水になろうか、と思うほどの美味さだ。水と付き合ってもいいかもしれない(要件次第だが)。

もう水です。今後の新規事業は全て水にすべきだ。水をパッケージにして売ったらいいんじゃないだろうか。水をぐびぐび飲める機械を。あるいは、水になとかなんとか水とか適当なことを行ってうれば、思わず水の美味しさにみな気づいて、革命が起きるんじゃないだろうか。藤原紀香さんとかに売ってもらうのだ。「多摩市の水道水はめっちゃうまい」とか言って。

水のうまさを知ると国民の幸せ度があがりまくって、ブータンを超えるだろう。あるいは、他の飲み物が売れなくなって飲料業界は崩壊するだろう。もしかすると、クリントンが大統領になったらUFOの秘密と一緒に水の秘密も暴露すると良いかもしれんね。コカ・コーラの原材料は世界で3人しか知らないと言われるというけど、水の美味しさもそれくらいの秘密にしておかないと世界のバランスが壊れるかもしれんね。

ゴールデンウィークに読んだ15冊+α

ゴールデンウィークでは、Kindleで未読の本を処理しようと思い、乱読。

以下、せっかくなので引用メインのレビューを。

赤目四十八瀧心中未遂

赤目四十八瀧心中未遂
赤目四十八瀧心中未遂

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車谷 長吉
文藝春秋
売り上げランキング: 103,758

★★

なぜ買ったか覚えていない一冊。

多分、誰かに「車谷 長吉」を進められたので、買ったのだと思われる。

前半は「なんだか入り込めないな」と思って読んでいたのだが、知らない間に、下町の雑踏に飲み込まれるように物語に吸い込まれてしまった。

大阪弁と1980年前後の時代の濃さが凝縮されており、この肉々しさやシズル感がすごい。

梁石日や西村賢太などの作品が好きなら合うのではないか。

チンケに負ける豚。

なんというインパクトのある比喩。

「そやかて、この世に生きるいうことは焦るいうことやろが。そやからこそ、お先にどうぞ、思て生きなあかんのやけど、世ン中の人はみな目の色変えて、我れ先に走って行きよるが、阪神電車に乗るん一つが。これを言い直したら、生きることは捨てることや。

お姉さんのタンカ。表現も内容も深い。

けったいなこと言うてはる人。

ぐっとくる表現

一度、冷蔵庫の扉を開くと、中に口を近づけて、「ねえさん、すんまへん。ありがとうございました。」と、声にならない声で言うた。その声を冷蔵庫の中に閉じ込めるように、扉を閉めた。私はアパートを飛び出した。

好きなエピソード

白洲次郎 占領を背負った男

白洲次郎 占領を背負った男 上 (講談社文庫)
北 康利
講談社 (2008-12-12)
売り上げランキング: 44,561

★★★

会社の方に教えてもらって読んだ本。

「面白いに違いない」と思っていたが、案の定、最高に面白い。よく売れた一冊と記憶しているので読んだ人も多いのではなかろうか。

ちなみにこの一冊も、流行っていた数年前に読んで、途中で挫折した一冊。当時はこの白洲次郎の気持ちにはなれなかったのだろう。

戦後の日本でGHQなどと張り合った男の人生。ダンディズムがあり、ジェントルであり、もう魂を揺さぶられる人生。

日常生活の冒険

日常生活の冒険(新潮文庫)
新潮社 (2014-03-14)
売り上げランキング: 75,752

★★

なぜこの本を買ったが記憶にない

ストーリーとしてはファンキーな友人との青春談。

大江健三郎は好きな本(同時代ゲーム)と好きじゃない本(他の短編集いろいろ)に別れるのだが、これはそこそこ好きな本。ストーリーというよりも時代を背景にした質感が素晴らしい。

肛門を鬼に咬まれるみたいに恐い

という表現が好き。

“夢を「10倍速」で実現する方法

夢を「10倍速」で実現する方法
三木 雄信
PHP研究所
売り上げランキング: 107,388

★★

会社の方のおすすめで買った本

孫さん好きには楽しい一冊。

以下、ハイライトした箇所の一部。

「早く決断してスッキリしたい」などというのは、孫社長に言わせれば怠け以外の何物でもないのです

確か孫さんは数分考えて結論でないものは自分で考えないというスタンスでしたが、それと平行して、「とはいえ、すっきりしたいために決断する」というのは戒めるためのポイントなのではないかと理解しました

「自分一人で考えない」  これこそが夢の実現スピードをアップするための必須条件だと、私は孫社長から学んだのです。  その証拠に、孫社長が部屋にこもって一人で何かを考えている時間はめったにありませんでした。

ちなみに私は、日本中の論文を検索できる「CiNii」というサイトをよく使います。政治経済から科学、医療、芸術まで、あらゆるジャンルの論文が探せるのでとても便利です。  

知らなかった。ちょっと使ってみたら結構面白い。「ブランド国家」で調べたら、僕が大学時代に大きな影響を受けたvan Ham Peterのフォーリン・アフェアーズの論文も掲載されていましたん。

思考は現実化する

思考は現実化する〈上〉
ナポレオン・ヒル
きこ書房
売り上げランキング: 4,468

★★

会社の方にリコメンドいただいた本。

著名な本なので、過去にも一度読んだのだが、当時は全然ピンとこなかった(確か高校生か大学生の頃だったように思う)。しかし、今読むとあらためてしっくりくるところが多い。それはきっとこの本に書かれていることのハラオチする経験をしたからだし、あるいは、ここで書かれている課題のいくつかは自分の課題として認識しyているからなのだろう。

本というのは、読むべきタイミング、というものがあるのだ。

人を動かす

人を動かす 文庫版
人を動かす 文庫版

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D・カーネギー
創元社
売り上げランキング: 148

★★

こちらも同じくリコメンドいただいた本&過去に挫折した本。

「影響力の武器」を彷彿させましたが、それよりももっと文脈的という印象

道は開ける

道は開ける 文庫版
道は開ける 文庫版

posted with amazlet at 16.05.07
D・カーネギー
創元社
売り上げランキング: 1,518

★★★★

こちらは上記の綱がりで読んだ一冊。一番、刺さった。一番ハイライトした。30箇所前後

私は「友がみな我よりえらく見える日は」というノンフィクションが大好きで。この本では「人がいかに絶望から立ち直るか」といったようなエピソードが描かれている。それをもっと世界版に、そして著名人版にしたのがこの本だという印象を受けた(実際はもっと異なるが、印象論として)

ゆえに、僕は「人が苦労や失敗、絶望からどう立ち直るか」がとても興味があり、少し前からライフワークにしてその話をよく聞いているほどだ。

そういう背景もあり、とても刺さった一冊でした。非常におすすめ。

好きなエピソードいくつか

かつてバイオリニストとして世界に名を馳せたオーレ・ブルがパリで演奏をしていた時、バイオリンのA弦がぷつりと切れたことがあった。けれども、ブルは三本の弦でその曲を終わりまで弾き続けた。「それが人生なのだ。A弦が切れることも、三本の弦で弾き終えることも」とハリー・エマーソン・フォスディックは言っている

私は多くのアメリカ実業界の指導者にインタビューした。強く印象に残ったのは、彼らが避けようのないものは受け入れ、意外にも悩みとは無縁の人生を歩んでいることだった。

偉大な哲学者で『厭世主義の研究』の著者ショーペンハウエルの意見に耳を傾けよう。彼は人生を無益で苦しい冒険とみなしていた。彼が歩を運ぶたびに、彼の体からは憂うつがしたたり落ちた。それでも絶望の深淵からショーペンハウエルは叫んでいる。「できるなら、何びとに対しても憎悪を抱くべきではない」と。

成功者の経歴を研究すればするほど、私は一つの確信を深めるようになった。つまり、努力と成功の刺激剤とも言うべき悪条件を背負っていたからこそ成功したという人は驚くほど多いのである。

これが第一の法則である。次には、より直接的に彼らの生活方式に攻撃を加えるのである。こう言うのだ──「この処方どおりにしたら、二週間できっと全快しますよ。それは、どうしたら他人を喜ばすことができるか、毎日考えてみることです」。

上記の考えはかなり刺さった。実は「自分が幸せになりたければ人の幸せを願うことが重要」という、人生の叙述トリックのようなギミックが仕掛けられている。が、この命題は、非常にハラオチすることも多く、多くの他の人の発言や自分の経験を鑑みても納得できる点は多い。このテーマはしばらくじっくり考えたい。

とりあえず朝マンションで合う人に普段よりも大きな声で笑顔で挨拶をするということから始めている。

近代心理学における最も重要な発見は、自己実現と幸福のためには、自己犠牲や訓練が必要である点を科学的に実証したことであろう」

教室で判明したことといえば、多くの人々は、自分たちが手抜きのできない仕事に絶えず追いかけられ、苦しんでいると思い込んでいることだった。

思い当たることがあり、痛い。

つまり、祈りは神を信じる信じないは別として、あらゆる人々が共有する非常に根源的な三つの心理的欲求を満たしてくれるのである。

祈りの科学的根拠。非常に興味深すぎて、「祈る」という行為にも関心を持ちはじめました

ツナグ

ツナグ (新潮文庫)
ツナグ (新潮文庫)

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辻村 深月
新潮社 (2012-08-27)
売り上げランキング: 3,054

★★★

死んだ人と話ができる場を設定できる人が主人公の話。どのエピソードも、綿密に設計されていて素晴らしい。辻村 深月さんらしい、というか。単なる短編集で終わらせない。

ただ、そういう大味の設定にも関わらず、個々のエピソードが読ませる。特に好きなのは、
・恋人が急に消えた
というストーリー。結婚を考えていた恋人が消えるって、相当なあれですよ。この短編だけでも、色々考えることはありました。

目からウロコのコーチング

★★

コーチングに興味があり手に取った。会社でファシリテーションやコーチングが非常に上手な方がいらっしゃって(以下のURLなど参考)、実際に「そのマジックのような場を整理する力」などを見ていると、「コーチングの本領」を垣間見ることができ興味を持ったのだ。それまでは、その力をどれほどのものかわからず興味が持てなかった

»起業家が知っておくべきコーチングのやり方 — The First Penguin

コーチングの考え方やテクニックなどが多く、非常に参考になった。これは会社の上司・部下だけではなく、友達や恋人との関係でも使えるところは多いだろう。

以下、ポイント抜粋

コーチングにならない原因の一つとして、「問題解決に自分ものめり込んでしまう」という傾向があげられます。

マネージャーあるあるですね(自戒)

「日常的な上司からの情報(アドバイス・意見)がとても役に立っている」という問いに「イエス」と答えたひとは、二〇%でした。

いかに上司として「部下を思っているアドバイス」が、相手にとって役立っていないかという事実を突きつけられるデータ。

つまりコーチングにおける「聴くこと」は、「相手の中に答があると信じていること」が前提条件でできるのです。

これが一番刺さったポイントかも。つまり「信じきれるか」というのがコーチングをする人の力量として問われるのだ。コーチングは単に「聴く」というものでは全くない(当たり前ですが)。

「すぐに出てくる答は答ではない」というくらいの心がまえでいてください。すぐに出てくる答は、普段から考えていることで「常識的で平凡」です

聴くという思いも、上記のような前提で聴くと、また姿勢は変わりそう。

あなたが部下の話を聴くときに、身体はどんな向きをしていますか? 椅子の背もたれに身体をあずけてふんぞりかえっていないでしょうか。

意識だけ「聞いているふり」しても、あかんようになる例。

あなたにみえている部下の「エネルギーロス」を指摘するのではなく、「得られているものの代償として失っているものは何か」をテーマとしてとりあげることが効果的です。

テクニックとして上記の質問は参考になります。

珠玉

珠玉 (文春文庫)
珠玉 (文春文庫)

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文藝春秋 (2012-09-20)
売り上げランキング: 21,695

Kindleが出た当初になんとなく買った一冊。開高健さんは名前は聴くけど読んだことがなかったので読まなきゃと。しかしながら、少し読むもピンとこなくて積読(Kindle放置読)していたのですが、ついに読了。

3部作だが3部目の「一滴の精液」が素晴らしい(Amazonのレビューを読むと他をほめている人も多いので、趣味の問題なんだろうと思う)。「小説とは観察だ」とは大江健三郎の短編の中にある一説だが、まさにその本領を体験できる観察眼。

アルケミスト

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
パウロ コエーリョ
角川書店
売り上げランキング: 156

★★★

大学時代に一度挫折して、やっと読了した一冊。

大学時代の尊敬する友人の愛読書で、とても興味があったのですが、当時の僕には読み切る力はありませんでした。とはいえ、者h語り自体は絵本レベルとまではいかなくても、非常にシンプルでわかりやすい物語です

では、なぜ読みきれなかったかというと、このストーリーが持つ箴言や意味を汲み取りができなかった(あるいはそれを必要としなかった)のだろうと思います。別でも「本によって、読むべきタイミングがある」というのは書きましたが、その代表的な本がこちらかと。もちろん、これは青春時代に読むべき本の一冊としyて考えるのが正しいのでしょうけれど、何歳になってもこの本の持つ意味の価値は変わりません。折に付け読み返したい本です。

素晴らしい一冊とは分かっていたのに体が受け付けなかった。いまはとてもしっくりくる。そのような自分の年の重ね方さえも感じられる素晴らしい一冊です

その日のまえに

その日のまえに (文春文庫)
重松 清
文藝春秋
売り上げランキング: 1,139

途中まで読んでいて、やっと読了。最後あたりはぐっとくるシーンが多い。ただ、重松さんの本は、家族系が多いからか、あまり感情移入できず得意ではないかも。

疲れない脳をつくる生活習慣

疲れない脳をつくる生活習慣
プレジデント社 (2016-01-28)
売り上げランキング: 118

★★

以下の記事を見て石川 善樹さんに興味がでて拝読。しばらく前から重視されている「マインドフルネス」に関する一冊。

»強いメンタルを持つ人間の行動は何が違うのか?(前編) – Industry Co-Creation(ICC)

瞑想(禅)への関心がますます高まっています。

最貧困女子

最貧困女子 (幻冬舎新書)
鈴木 大介
幻冬舎
売り上げランキング: 2,686

★★★

お金がなく風俗をする女性たち、それでも十分に稼げず活きるのに精一杯な人たちの実態のルポ。

この状態が日本のどこまでの母数を表しているかの量の問題は別として、実際にある問題なのだろうと思う。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない  A Lollypop or A Bullet (角川文庫)
桜庭 一樹
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 35,357

★★

ラノベでは有名な本。角川の本がキャンペーンをしている時に購入。

ストーリーとしては読みやすく面白い。中高生受けするでしょう。

逃げるは恥だが役に立つ

逃げるは恥だが役に立つ(1) (Kissコミックス)
講談社 (2013-12-06)
売り上げランキング: 16,116

★★

なぜ買ったのか不明(購入日は2年以上前)。婚活系の漫画なので、婚活に興味があった頃だったのかな。

「ハウスキーパーを雇う男性とそのハウスキーパーさんと建前上、結婚するという話」であり、設定としては面白かった。

僕だけがいない街

僕だけがいない街(1)<僕だけがいない街> (角川コミックス・エース)” style=”border: none;” /></a></div>
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KADOKAWA / 角川書店 (2013-05-18)
売り上げランキング: 59

★★

これも2年以上前に購入。角川の本が安い時に買ったのかも。あと友人のおすすめと。

近未来の悲劇を予知できる主人公の話。こういう時間操作系は面白い。

読んだ本「横道世之介」

横道世之介 (文春文庫)
横道世之介 (文春文庫)

posted with amazlet at 16.04.29
吉田 修一
文藝春秋 (2012-11-09)
売り上げランキング: 16,632

★★★★★

「いい本読んだ!」と思えた小説でした。吉田修一さんの本は、どれもはずれがない。

青春ものの物語で、大学のために上京してきた主人公の学生時代の物語。友情あり、恋愛あり。

ただ、通常の物語と違うのは、構成。この出来事はバブル期あたりの物語なのだが、そこの登場人物たちの「今」が、物語の合間に差し込まれる。つまり、大学生だった彼らの「数十年後」が垣間見れる仕組みになっている。

そこで「ん?」という出来事が起こり、時間を移動しながら、ぐいぐい物語に引きこまれていく。人物像も上手ければ構成もうまい。きっとあなたもこの登場人物の誰かに感情移入をし、あるいは、誰かに恋をすることでしょう。

最初は新聞か何かで連載されていたのかな。最後はその時と少し話が変わっているそうで。映画化もされたので、それがどのような最後になっているのかも気になるところ。

おすすめです。

Media Makerからブクログに移管

「長期休暇だ!」ということでしたくてもできてなかったことに着手しております(たとえばこのブログ投稿も)。

その1つとして、書籍管理のツール整理がありました。皆さんは、どのように「読みたい本」「読んだ本」を管理しているでしょうか?特に、読みたい本の管理はなかなか悩ましいです。

以前は、Amazonのカートに突っ込んでいたのですが、ある数量を超えたら消えてしまうという憂き目にあいました。思わず、Amazonに「助けて!」とメールしてしまったほどです。

それから、メディアマーカーで管理していました。ようは「読みたい本」とブックマークしておくのです。ただ、このメディアマーカーがえらい重たくなり、別での管理を検討していました。

「そうだ、本管理といえば、ブクログだ」ということで、ブクログへの移管をしようかと。しかし、データの移管はなかなか厄介です。

»読書記録をメディアマーカーからブクログへ移行しました

詳しくは上記が大枠の流れなのですが、いくつかはまったので、念のため流れを含めて、はまったポイントを共有します。

・メディアマーカーからリストをエクスポート
・そのリストをエクセルで開くとダブルクオーテーションがなくなるので注意
・ただ、エクセルでないと整理できないのがあるので、エクセルで開く
・エクセルの「ファイル読み込み」だと、タグの改行がバグるので、CSVを直接オープンにする方が無難
・そして、ブクログ用のフォーマットに順番を入れ替え
– なお「ASIN(アマゾン商品コード)」がブクログの「アイテムID」に該当します
・そして、入れ替えたものにもう一度、ダブルクオーテーションをつけないといけないので、エクセルの「A1&A2」みたいな感じで、ダブルクオーテーションを付け直す
・タグはカンマ区切りでOK
・場合によっては、カラムに謎の半角スペースがあるので、テキストエディタで削除
・そして、ブクログにインポート
・なお、タグの改行対策ですが、エクセルのセル内の改行削除は、Macだと「Ctrl+J」だと改行コードが違うようでできないので(Winならできる)、Macの場合は、関数の「Clean」を使って、改行を削った方が良さそうです。

ということで以下のように本棚が整理できました〜。

»本棚 (原田和英) – ブクログ

なお、ブクログはバーコードリーダで書籍登録ができるので、数百冊の登録でも一気に片が付きます。おすすめです。以下など参考。

»ええっUSB接続のバーコードリーダーって最近4725円なのォ!? – ケータイ Watch

読んだ本:失敗の本質

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
戸部 良一 寺本 義也 鎌田 伸一 杉之尾 孝生 村井 友秀 野中 郁次郎
中央公論社
売り上げランキング: 114

★★★

第二次世界大戦における6つの戦線を元に、タイトルの通り「失敗」の原因を探っていくという本、に限らない。それを元に、日本の組織とはどうあるべきか、という点も合わせて考えることができる書籍となっている。そういう点では、戦争の本にとどまらず、組織論に近い本となっている。

いくつかポイントはあるものの、もっとも大きな問いの1つに「日本的意思決定」が挙げられる。いわば、合議的ゆえに誰が意思決定がしたか不明瞭であり、責任範囲もうやむやなままに物事が決まっていくというものである。今回の戦争でも、そのような重要な意思決定がふわっとした形で決まり、ないし、決定しないゆえに、統一が取れない形で戦争が進んでいくという課題があった。

また、印象深いエピソードとしては、ある戦争において負けた者がいた。上司は、その者のリベンジとして別の戦争で、彼が戦える場を用意した。いわば、感情論の意思決定である。もちろん、これで勝てば良いエピソードとして残るのかもしれないが、それで数百、数千の命が関わることになる。本来的には、そのような1人の感情のために、意思決定は行なれるというようなことはあってはいけない。

このような今の日本の組織に照らし合わせて思い当たるところが少なからずあり、考える一助となる良書でした。

書評:リーダーシップからフォロワーシップへ

リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは
中竹竜二
CCCメディアハウス
売り上げランキング: 72,522

★★★

会社の研修でこの中竹さんの話を聞いた。フォローワーシップというマネージメントに関する概念だ。

マネージメントとはマネージする人とされる人によって成り立つものであり、そのマネージされる人をフォロワーという。そのフォロワーが自発的にいかにパフォーマンスをあげれるようにするかといった考え方である(※ ただし、このあたりは私自身、理解が曖昧なので、本当に正しいかどうかはわからない)。ポイントは「自発的」という点であり、その点は、いわゆる「人を率いるリーダーシップ」とは対局に位置する考え方である。このフォロワーシップのマネージメントの最たるところは「リーダーがいなくても回る」というものといえば、まだイメージは付きやすいかもしれない。もっとシンプル化してしまえば、トップダウンかボトムアップか、のボトムアップのイメージが近い。

この考え方は初めて聞いたのだが、自分自身マネージメントに悩むことも多かったので、この概念から考えさせられることが多かった。この考えでは、マネージする人は必ずしも下の者よりも能力が秀でている必要がない。もちろん、従来のリーダーシップの考え方でもその考え方はあるのだが(たとえば、リーダーはビジョンを指し示すのが仕事、と定義した場合はスキルは別の話になる)、ただ、これはそのようなふわっとした話よりも、もう少しスキルや能力とは別の汎用的な「フォロワーシップを育成するスキル」を求める。たとえば、この本ではその最たるものとして「メンバーのスタイルを確立させること」というものがある。それによって、全体最適かつ、個々がもっともパフォーマンスを上げることができる組織が出来上がる。一種のコーチングにも近いという印象を受けた。

このフォロワーシップの利点としては以下などがあるような気がした
・個々人の自立性が高まるので組織力がつく(組織の力がリーダ1人などに依存しない)
・適正に合わせた成長を重視するので、個人としてもパフォーマンスが発揮しやすい
・スキルによるマネージメントは、常にその組織がリーダーを超えないというジレンマがあるが、それを超える組織を生み出す

もちろん課題も多くあり
・そもそも、このフォロワーシップを作り出すスキルの難易度が高そう(口を出したりしすぎてはいけないし、個々人のことをかなりしっかり理解しないといけない)
・フォロワーとの関係性を気づいたり、フォロワー自身が失敗して学ぶなどを経る必要があるので時間がかかる(ベンチャーには向かない?)

印象としては、
・市場が流動的な業界(ITとか)
・それなりに離職率が低い
・それなりに時間をかけて人を育てる体力がある
といった会社で向いているのではないかな、という印象でした

読書レビュー:稲盛和夫 最後の闘い

久しぶりに読書レビューを。

稲盛和夫 最後の闘い―JAL再生にかけた経営者人生
大西 康之
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 36,199

評価:★★★★

会社の尊敬する方に進められて読んだ一冊。稲盛さんの本は自伝的なものは読んでいたが、こちらは未読なので拝読。

JALの再建を託され、いかに彼がそれを受け、戦い、そして勝ち抜いたかが記載されている。2010年にJALの会長に就任し、2013年3月31日までの1155日の戦いだ。会社更生法の適用を申請した時の負債総額は2.3兆。会社更生法の適応会社が再上場した割合は7%のみ。そこから2012年には2049億円の営業利益を産み、再上場をさせた。結果として、彼はJALを再建させた。ある種の奇跡とも言える事をなぜ成し遂げられたのか?

いくつかのポイントがあるにせよ、マクロな観点でいえば「社員の考え方を変えさせた」ということなのだろう。3万人もいる会社ゆえに、何人かが考え方が変わっても、物事は変わらない。そうでなく、3万人全員が考え方を変えるということを行い、物事は大きく動く。しかしながら、当然、考え方を変えさせるというような容易ではない。人は今までのやり方を踏襲するし、何よりパラシュートで上から降りてきた人の言うことは人間心理として聞きにくい。しかし、フィロソフィーや彼自身の働き方、個々の仕組みを変えることによる考え方へのインパクトなどあらゆる手段を通じて、彼はそれを実現した。それが、この改革の真骨頂だろう。

その考え方を変えさせた仕組みの1つがアメーバ経営という仕組みである。組織を1リーダーが見れる範囲(アメーバ)まで分類し、リーダやメンバーはその単位の数字を徹底的に把握する。そして、メンバー全員が「今日はもうかったかどうか」を把握する。それによって、メンバーは自分の考えで試行錯誤をすることができる。また、事業自体も自分ごと化できる。なお、この「数字の管理システム」の構築は、非常に難易度の高い仕組みであり、京セラでその仕組を立ち上げた担当者がJALにも参画した。

そしてアメーバ経営に欠かせないもう1つの仕組みが「ミッションや戦略、行動計画の明確化」である。そのような指針がなければ、メンバーも「どういうステップでどうすれば数字を達成できるか」が全社観点で最適なものとならない。個々の単位にミッションが明確にあるからこそ、あとはトップダウンではなく個々で動いても全体での齟齬がでない。ゆえに、個々の単位で機動的に動くための指針がミッションである。アメーバ経営は、この小規模な組織とミッション単位の明確な戦略、そして、正確な予実管理システムによって成り立っている。それによって、メンバー全員が「どうすれば目標を達成できるか」ということを考えられる自律的な組織が実現する。

この仕組は聞いただけだと「ふーむ」という印象だが、実際にそれが稼働している世界を見ると「なるほど」と腹に落ちることが多い。KDDIの強さの一端をそこに見ることができ、アメーバ経営の凄みを実感する日々。

最後に彼のエピソードをいくつか
・予算として承認されている10億円の予算執行を拒否。たとえ、それが予算として通っていても、担当者が「なぜ必要か」という点をしっかり説明できなければ、通さなかった
・1日3時間のリーダー研修を月17回も行った。カリキュラムは自前で
・国際路線の担当者は「サンフランシスコ空港のラウンジの水道代から、オーストラリアでカンタス航空に借りているラウンジの人件費まで、頭に入っている」とという。細かいデータの把握によって、常に必要な対処法を考えることができる

他にもエキサイティングなエピソードは多々掲載されているので、ご興味ある方は是非、ご一読ください。

5秒のシーンにはせる思い

食事をしながら、録画したテレビでも見ようと思い、ザ・ノンフィクションをつけた

»ザ・ノンフィクション ~ エースという名の孤独 ~独占!清水邦広と木村沙織~ ~ 番組制作 ドキュメンタリ – 共同テレビジョン

上記の回。バレーボール選手の清水選手。

コンビニのオムライスを温めて、冷蔵庫で水をとって、テレビの前に座り、再生を押す。

オープニングが流れる。名曲の「サンサーラ」が流れる。

オープニングの説明によると、清水さんはオリンピックを目指す人らしい。「ふむふむ」と何もかんがえずに見る。どうやら昨年、歌手の中島美嘉さんと結婚したらしい。中島さんに何の思い入れもない自分は「ふむふむ」と思う。

その時に、オープニング中に入った1カットがあった。どこかの体育館の外のようなところで、中島さんが旦那の清水さんと再会するシーン(のように見える)。そこで中島さんはいう「ちょっとハグだけさせて」と。そして、ハグをして離れる。時間にして5秒もないほどのカット。

しかし、そのシーンを見て、思わず泣けてしまった。

その自分にびびった。何も準備していなかったので、特にビビった。ノーモーションからの涙腺の刺激。

その「ちょっとハグだけさせて」という一言に、あらゆるドラマを想像した。

・海外遠征で全然あえなかった時間
・ぐっとハグしたいけど、ちょっとだけという心配り
・テレビカメラがあるのも無視したハグ
・久しぶりの再会は、まずハグ

なんかすごい物語があるじゃないですか。オリンピックレベルで努力している人。それを応援する日本トップレベルの歌手。そして新婚。なかなか会えずに、やっと久しぶりに会える。テレビも無視して、体温だけでも感じたい。

いやー5秒のドラマですよ。素晴らしいシーンだった。この5秒を映画にさえできるような気がしたよ。「昼顔」のラストシーンのトラックのスレ違いみたいなもんだよ。あのドラマのあの最後はどうかなーと思ったけど、「あれでよかったのだ」とやっと気づいたよ。

さすがに自分の想像力に畏怖さえしたね。伊達に、ネギを切る時にネギの気持ちでネギの痛みを悲しんでいるだけないな。