最強の集中力 本当にやりたいことに没頭する技術, ニール・イヤール、ジュリー・リー、野中 香方子
これも面白かったー。示唆多し
>● あらゆる動機は、不快なことから逃れたいという欲求である。ある行動が安心をもたらすことを知ると、往々にして、それを苦痛から逃れるツールとして使い続けてしまいがち
面白い。
>そうなった背景には単純な理由がある。レビュー・オブ・ジェネラル・サイコロジー誌に掲載された研究が述べるように、「もし満足と幸福感が永久に続けば、さらなる利益や進歩を求めようとする意欲はほとんど湧かなかっただろう(注3)」。言い換えれば、満足することは、人類にとって良いことではなかった。私たちの祖先が懸命に働き、努力し続けたのは、進化によって常に不安を感じるようになっていたからであり、そのおかげで私たちは今も生きている。
人の幸せは継続しないのは、それだといきていけなかったから。
>一つ目の要因から始めよう。それは「退屈」だ。人は、退屈を避けるために、場合によっては文字通りショッキングなことまでやってのける。2014年にサイエンス誌に掲載された研究では、被験者に部屋の中で座って 15 分間考えることを求めた(注4)。部屋は空っぽだったが、唯一、自分で自分を感電させる装置が置かれていた。軽い感電だが、痛みが伴う。「いったい誰がそんな物を使うのだろうか?」とあなたは思うはずだ。 実験前にそれを使うかどうか尋ねると、被験者は皆、金を払ってでも使わない、と答えた。しかし、その装置しかない部屋に一人残され、ほかに何もすることがないと、男性の 67 パーセント、女性の 25 パーセントが自ら感電し、しかも多くの人は何回もそれを繰り返した。論文の著者たちはこう結論づけた。「人は思索より行動を好む。たとえその行動がきわめて不快で、通常なら金を払ってでも避けることであっても。人は一般に孤独な状況を好まない」。そういうわけなので、アクセス数の多いウェブサイトの大半が、ショッピングや有名人のゴシップといった、退屈な仕事から逃げるための刺激を売り物にしているのは驚くに当たらない。
退屈がそんなにおそろしいものだとは。
>ロシアの文豪ドストエフスキーは1863年に、「シロクマのことを考えないという難題を自分に課せば、シロクマが絶えず頭に浮かんでくるだろう(注2)」と書いた。その124年後、社会心理学者ダニエル・ウェグナーは、ドストエフスキーの主張が正しいかどうか実験した。 被験者は、5分間シロクマのことを考えないように、と指示された。すると彼らは平均で1分間に1回、シロクマのことを考えた。まさにドストエフスキーが予言した通りだ。しかし、ウェグナーの実験はそれだけでは終わらなかった。同じグループの被験者と最初の実験には参加していない別のグループに、今度はシロクマのことを思い浮かべるよう指示すると、後者より前者のほうが、シロクマのことを思い浮かべる回数がずっと多かった。「この結果は、最初の5分間に考えないようにしたせいで、心の中でリバウンドが起きて、より頻繁に考えるようになったことを示している」と、ウェグナーはモニター・オン・サイコロジー誌に掲載された論文に書き(注3)、のちにこの傾向を「
考えないと考えたことがよけいに考えることになる。
悪いことの悪循環。
>実は、渇望に影響したのは、最後に喫煙してからの時間ではなく、次に喫煙できるまでの時間だった(注5)。もし、この研究が示す通り、ニコチンのように中毒性があるものへの渇望をコントロールできるのなら、他の不健康な欲求も、脳をだますことでコントロールできるのではないだろうか。ありがたいことに、その通りなのだ。
禁煙で苦しいのは、心理的な理由が大きい。
> この注意散漫の罠を避けるには、「 10 分間ルール」が効果的だ(注3)。私はほかにすべきことを思いつかなくて、気を紛らわせるためにスマホのメールをチェックしたくなると、「それは悪いことではないが、今はその時ではない」と自分に言い聞かせる。そして何もしないで、 10 分過ぎるのを待つ。この方法は、執筆の手を止めて検索するとか、退屈な時にジャンクフードを食べるとか、「疲れすぎて眠れない」時にネットフリックスの番組の続きを見るといった、あらゆる注意散漫を防ぐ助けに
集中が途切れてスマホみたい時は10分後もみたいかを考えて、集中する
>仕事のつらさを何かでごまかそうとしてはいけない。仕事を楽しめないのは、仕事に向き合う真剣さが足りないからだ。仕事を余裕綽々 でこなしているうちは、真の楽しさは得られない」。つまり答えは、「仕事そのものに集中せよ」ということだ。
仕事に集中しなきゃとプレッシャーをかけるのではなく、仕事自体を好きになるべし。その方法例が以下
>メディアに夢中になるのと同じ神経回路を活用すれば、 楽しくない仕事にも、集中して取り組むことができる。
>楽しさとは、何かの中に、他の人は気づいていない「可変性」を探すことであり、 退屈と単調さを打ち破って、隠れた美を発見することである。
>パフォーマンスを向上させたのは、レモネードの中の砂糖ではなく、私たちの頭の中の思考だった。スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドウェックは、米国科学アカデミー紀要に掲載された共同研究において、自我消耗の兆候が認められたのは、意志力には限りがあると信じている被験者だけだった、と結論づけている(注7)。被験者の力を回復させたのは、レモネードの中の砂糖ではなく、砂糖の効果を信じる気持ちだったのだ。 意志力には限界があると考えない人々には、 自我消耗の兆候は見られなかった。 今でも多くの人が自我消耗という考えを支持しているのは、それを否定する証拠があることを知らないからだろう。だが、ドウェックの結論が正しければ、自我消耗説がまかり通っているのは由々しきことだ。というのも、人は実際にはまだ余力があるのに、自我消耗を言い訳にして何かを諦めてしまうかもしれないから
自分は集中力がある、意思があるという信念こそが、実際に集中を続けることができる。
意思は摩耗しない。
>自分を思いやり、失敗とストレスの悪循環を断ち切れば、 回復力 を高めることができる
自分への思いやりも重要。自己憐憫とは別
>自分には意志力と自制心が足りないと信じ込んでいると、その通りになる。自分には誘惑に抵抗する力がない、生まれつき欠陥があると自分に言っていると、実際にそうなってしまう。 ありがたいことに、自分が考えるすべてのことを信じる必要はない。人が無力になるのは、自分は無力だと思った時だけだ。
自分は意思が強い人間だと信じるのが重要。
>自分でコントロールできる唯一のものは、 そのタスクに注ぎこむ時間だけだ。
集中できるか、寝れるかなどは自分でコントロールできないので、時間をコントロールする。
>家族と友人は、私たちが人間関係、忠誠、責任についての価値観に沿って生きるのを手助けしてくれる。彼らはあなたを必要とし、あなたは彼らを必要とするので、彼らは単なる「残余受益者」よりはるかに重要だ。この「残余受益者」という言葉を私が初めて聞いたのは、大学の経済学入門の授業だった。ビジネスの世界における「残余受益者」とは、会社が負債などを整理して解散した時に、残ったものを分配される人々で、大抵の場合、多くは得られない。人生において、私たちが愛する人々はもっと多くを受け取るべきだが、私たちが時間配分を注意深く計画しなければ、彼らはまさに残余受益者になってしまう
めちゃめちゃ面白い
人生の時間の優先度を家族を先にしないと、残余受益者になる。
株の優先株とかの概念にも近い
>。ウォールディンガーは、「大切なのは、友人の数ではなく、……人間関係の質です」と警告
幸せは人間関係の質が重要
>私と友人たちは、多忙なスケジュールや育児疲れをものともせず、定期的に集まることにしている。私たちはそれを「キブツ」と呼んでいる。ヘブライ語で「集会」という意味で、私たち夫婦を含む4組のカップルが2週間に一度、戸外でランチを食べながら一つのテーマについて話し合う。ピクニックしながらの双方向型TEDトークのようなものだ。テーマは「親に教えてもらって、感謝していることは何か?」といった深い問いから、「ピアノなど、子どもがしたがらない習い事を、無理にでも習わせるべきか?」という現実的な問題までさまざまだ。 テーマを決めることには二つの利点がある。一つは、スポーツや天気などについての世間話ではなく、本当に重要なことについて話せることだ。もう一つは、カップルの集まりでは起こりがちな、男性はあちら、女性はこちらという性差による分裂を防げることだ。その日のテーマを決めておけば、全員が会話に参加できる
面白いな。やってみたい
>行動(B=behavior) を起こすには、動機(M=motivation)、能力(A=ability)、誘因(T=trigger) が必要、というのがフォグの行動モデルだ。簡単に表現すれば、B=MATで
>しかし、話はそれほど簡単ではない。ザ・ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・サイコロジー:ヒューマン・パーセプション・アンド・パフォーマンス誌に掲載された研究により、スマホの通知に気づきながら無視しようとすると、それらに反応するのと同じくらい注意散漫になることが判明した(
>スマホへの関心を抑制するのに駆り出され、目の前のタスクに集中できなくなるからだ」と記されている。スマホが視野にあるだけで、脳はそれを無視するために懸命に働かなくてはならない。しかし、スマホに容易に近づけないか、見えるところにそれがなければ、脳はタスクに集中できない。
スマホは通知を知るだけでもストレスになる。
>テキストメッセージによる介入が喫煙行動を減らすことを支持する十分な証拠」が見つかった(注
逆にテキストメッセージで禁煙支援などもできる
>このようなオープンオフィスは、アイデアの共有や協業を促進するとして推奨されてきた。だが、残念ながら、2016年に300件を超す論文を比較・分析したメタ研究によると、オープンオフィスの流行は、より多くの注意散漫を招いた(注 10)。当然ながら、そのせいで社員の満足度は下がった(注
オープンオフィスは集中力を下げる
>「オデュッセウスの契約」は、「将来の自分を拘束するために、設計、意図された自由意思による決定」と定義され(注6)、現在でも私たちはその種のプリコミットメントを利用する。病気や老化のせいで健全な判断ができなくなった場合に備える
これいいな。覚悟。もし実行できなければ、1万円を燃やすとか。
以下とかがツール
>現在、デジタル機器との努力契約を支援する製品やサービスが、続々と誕生している。例えば私は、パソコンで執筆する時はいつも SelfControl(セルフコントロール) アプリをクリックする。すると、たちまちフェイスブックやレディットといった、注意散漫をもたらすウェブサイトへのアクセスが遮断され、電子メールのアカウントも閉じられる(注2)。遮断する時間は、必要に合わせて設定できる。私の場合、大抵は 45 分から1時間だ。また、Freedom(フリーダム) という別のアプリはもう少し高度で、コンピューターだけでなくモバイル機器でも、気が散る原因をブロックする(注
>注意散漫を防ぐアプリの中でも、私が特に気に入って、ほぼ毎日使っているのは Forest (フォレスト) だ(注4)。スマホに邪魔されたくない時、私はそのアプリで、スマホを使わない時間を設定する。Plant(樹木) と書かれたボタンを押すと、画面に小さな苗木が現れ、タイマーがカウントダウンを始める。設定した時間にならないうちにスマホをいじると、そのバーチャルの苗木は枯れる。小さな木を枯らすことになると思うと、スマホを使うのが 憚 られる。その木は、自分と結んだ契約を思い出させるリマインダーなの
以下のような制約
>つまらない言い訳をしようとすると、いつもその100ドル札が、自分と自分の健康に対して結んだ契約を思い出させた。あなたの考えは想像がつく。「そんな乱暴な! お札をそんなふうに燃やしちゃいけない!」。それこそが私の言いたい点だ。私はこの「(カロリーを) 燃焼するか、(お金を) 燃やすか」のテクニックを3年以上使ってきた。その結果、筋肉が約5キロ増えたが、100ドル札は1枚も燃やしていない。
>「燃焼するか、燃やすか」のようなプライス契約は、やる気を短期的に高めたい時にはうまくいく。例えば、ジムへ行くとか、集中して2時間執筆するとか、タバコへの渇望を乗り越えるといった場合だ。しかし、プライス契約があまりにも長く続くと、人はそれを罰則と見なすようになり、タスクや目標を憎むというような逆効果を招く恐れがある。
>プライス契約を結ぶ時は、誰でも躊躇するものだ。 だが、とにかく契約を結ぼう
上記、いかに自分との契約が重要かという話。
>驚くべき結果だったので、研究者たちはその有効性を確認するために、別の選挙でも同じ実験を行った。結果は前回と同じで、「投票者」グループの投票率は、「投票する」グループを大幅に上回った。ブライアンはこう結論づけた。「投票が、単なる行動ではなく、自己の表出、すなわち人格の象徴と見なされると、人は投票する可能性が高くなる」 実際、自己イメージは行動に強く影響し、それは投票に限ったことではなく、アイデンティティーをうまく利用すれば、脳は、難しい選択や意思決定を容易にこなせるように
投票者と言われただけで投票率があがった。アイデンティティの活用が重要。
>では、注意散漫と戦うには、どのようなアイデンティティーを持てばいいのだろうか。それは、本書のタイトルが『Indistractable』(訳注*原書タイトル。注意散漫にならない、という意味) である理由を考えればわかるだろう。Indistractable な世界へようこそ。「自分は indistractable」と考えることによって、あなたは新たなアイデンティティーと、より強い力を得ることができる。またこのアイデンティティーによって、スケジュールを細かくタイムボクシング
自分の信じ込むことの重要性
>最近の研究は、職場や日常生活での世俗的な儀式には、絶大な効果があることを示唆している。ハーバード・ビジネス・スクールのフランチェスカ・ジーノ教授たちは、減量を望む人々を被験者として、儀式が自制(セルフコントロール) にどう影響するかを調べた(注8)。最初のグループは、5日間、食べるものに気を遣うことを求められた。第二グループは、食事前に3段階からなる儀式を行うよう指示された。その儀式は、まず食べ物を切り、次に切ったものを皿の上に左右対称に並べ、それぞれ食べる前に3回フォークかナイフで叩く、というものだ。ばかばかしい儀式だが、驚くほど効果があった。儀式のグループは、食事に気を遣ったグループより、カロリーも脂肪も糖分も、摂取量が少なかった(*)。ジーノ教授は語る。儀式は「時間の無駄のように見えるかもしれないが、私たちの研究が示唆するように、それらは非常に強力だ。長年の伝統でなくても、単純な儀式だけで、修練と自制に役立つこともわかった
儀式の価値。面白いな。なんかもう少しノウハウ化できないかな。
>第一の要因には、研究者たちが「職務ストレス」と呼ぶものが含まれる。そのストレスは、社員が高い期待に応えようとしても、結果が自分ではコントロールできない状況で生じる。スタンスフェルドは、この緊張はブルーカラーだけでなくホワイトカラーも感じると述べ、
「this is not my business」ととらえることが重要